研究課題/領域番号 |
22K03310
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研究機関 | 岐阜大学 |
研究代表者 |
田中 利史 岐阜大学, 教育学部, 准教授 (60396851)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | リボン結び目 / 対称和 / スライス結び目 |
研究実績の概要 |
本研究の目的はリボン結び目とその表示の特徴づけ及び分類を行うことである。リボン結び目は、1960年代から研究が盛んに行われている結び目コボルディズムの分野において重要な研究対象である、スライス結び目の例である。2022年度の研究においては、合成リボン結び目のリボン円板の幾何学的性質を調べ、そのようなリボン結び目の特徴づけ及び分類を行った。その結果として、未解決問題である「すべてのリボン結び目は対称和であるか」に対して新たな結果を得た。 近年、リボンコンコーダンスに関して極小な結び目はどのような結び目であるかという問題が注目されている。例えばトーラス結び目は極小な結び目であることが知られている。本研究の具体的な取り組みとして、リボンコンコーダンスに関して極小な2つの結び目の連結和がリボン結び目となる場合の研究を行った。一般に結び目とその鏡像の連結和はリボン結び目となるが、その逆が成り立つかについて考察した。その結果、その連結和がリボン数1のリボン結び目の場合に、ある結び目とその鏡像の連結和となることを示し、特に対称和となることが分かった。また、2つのトーラス結び目の連結和がリボン結び目となる場合は、一方が他方の鏡像となることをアレキサンダー多項式の性質を用いて示し、特に対称和となることが分かった。その結果、トーラス結び目のコンコーダンスクラスは、トーラス結び目を1つしか持たないことが分かった。一方で、結び目とその連結和のリボン数と橋数に関するBleilerとEudave-Munozの予想に対する反例を与えた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
本研究の目的の1つは未解決問題「すべてのリボン結び目は対称和であるか」を解決することである。現在まで、リボンコンコーダンスに関して極小な結び目の連結和の研究を行った。その結果、その連結和がリボン数1のリボン結び目の場合に対称和となることが分かった。また、2つのトーラス結び目の連結和がリボン結び目となる場合に対称和となることも分かった。結果として、トーラス結び目のコンコーダンスクラスには、トーラス結び目が1つしかないことが分かった。その研究成果については、[Topology andits Applications 326 (2023)]に発表することができた。
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今後の研究の推進方策 |
2023年度については、研究対象とする曲面を、リボン円板や対称球面として研究を進める。具体的には、自明なリボン結び目や最小交点数6のリボン結び目の対称和表示の同値類がどの程度あるかについて考察する。また、一方で2橋リボン結び目がもろ手型結び目である場合に、その対称和表示を用いて特徴づけを行い、さらに一般にもろ手型リボン結び目の性質について考察する。 本年度についても、研究会へ参加し研究発表及び情報交換を行うことで研究を進めていきたいと考える。
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