研究課題/領域番号 |
22K03311
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
葉廣 和夫 東京大学, 大学院数理科学研究科, 教授 (80346064)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | ハンドル体群 / 写像類群 / Johnson準同型 / Johnsonフィルトレーション / Johnson-森田理論 |
研究実績の概要 |
今年度は,Gwenael Massuyeau氏(ブルゴーニュ大学)と共同で,論文「The Johnson-Morita theory for the handlebody group」を完成させることができた.Johnson-森田理論は,曲面の写像類群への代数的なアプローチであり,曲面の基本群の降中心列への写像類群作用を調べるものである.この論文では,ハンドル体の写像類群(ハンドル体群)に対して,Johnson-森田理論の類似を導入した.ハンドル体群は(3次元の)ハンドル体の自己同相写像のイソトピー類からなる群で,ここでは,ハンドル体の境界に埋め込まれた円盤を固定する写像類のみを考える.ハンドル体群のJohnsonフィルトレーションは,そのi番目の部分群が,ハンドル体の基本群の元と交換子を取ると降中心列のレベルがiだけ下がるという元全体からなるようなものである.また,Johnsonフィルトレーション上のJohnson準同型の類似物についても構成した.Johnson準同型は,ハンドル体群のJohnsonフィルトレーションの次数化からハンドル体の基本群の降中心列の次数化の微分リー環へのリー環準同型とみることができる.これらの理論は,Massuyeau氏と共同で以前に導入した,Kontsevich不変量の底タングルの圏への拡張とも密接に関連しており,ビーズ付き木のなすベクトル空間を使って記述することができる.この理論を使うことにより,例えば,ハンドル体群からハンドル体の基本群の自己同型群への自然な準同型の核として定義されるツイスト群がresidually torsion-free nilpotentであることが示される.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
計画に記載された具体的な研究内容について順調に研究が進んだとは言えないが、計画に記載されていない予想外の方向に研究を大きく進めることができた。予想外の方向に研究を進めることも計画の一部に含まれているため、全体として、順調に研究が進展していると考える。
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今後の研究の推進方策 |
今年度得られた新しい方向性も含めて、研究を進めていく。
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度使用額が生じた理由は、前年度にコロナ禍のため出張をほとんどしなかったことから,多くの額を今年度に残していたことである. 今年度は、海外出張や研究打ち合わせなど計画的に研究費を使用する
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