研究課題/領域番号 |
22K03324
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研究機関 | 近畿大学 |
研究代表者 |
鄭 仁大 近畿大学, 理工学部, 准教授 (30587788)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2027-03-31
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キーワード | デーン手術 / バンド変形 / 矯飾的デーン手術 / 結び目 / 領域選択問題 / 局所変形操作 |
研究実績の概要 |
本年度の研究において,以下に述べる成果を得ることができました. 1) Moore-Vazquez によって発見された,8_8 結び目における対掌的矯飾的バンド変形の一般化する研究を行いました.8_8 結び目が許容する対掌的矯飾的バンド変形に対応する三次元球面の二重分岐被覆空間内の結び目は,双曲的結び目であることを明らかにすることができました.ただし,この対掌的矯飾的バンド変形の存在についてのメカニズムはまだ解明できておらず,本研究については現段階で纏まった成果は得られていないため,引き続き研究を進める予定です. 2)当初の研究計画にはありませんでしたが,局所変形操作との関連として,領域交差交換から派生した問題である整数係数領域選択問題において,禁止領域を2つ設ける制限を加えた場合の可解性について研究を行いました.特に,解の存在条件に関して知られていた Batal-Gugumcu の結果を拡張することができました.具体的には,禁止領域のアレクサンダー指数の差が解の存在と強い関連があることを示し,特に禁止領域のアレクサンダー指数の差が1の場合に解がただ1つ存在することを示しました.これは,隣接する2領域を禁止領域としたとき,解が一意的に存在することを示した Batal-Gugumcu の結果の一般化・精密化となっています.本研究は福島倭氏(2021,2022年度近畿大学大学院総合理工学研究科数理解析分野前期博士課程)との共同研究で,学術雑誌に投稿する論文を現在執筆中です.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
8_8 結び目の対掌的矯飾的バンド変形のメカニズムをまだ明らかにできていないこと,また交代結び目の純矯飾的手術に関する研究も完全決着に至っていないことから,やや遅れていると判断しました.
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今後の研究の推進方策 |
1) 8_8 結び目の対掌的矯飾的バンド変形のメカニズムについて引き続き研究を行います. 2) 交代結び目の純矯飾的手術,およびモンテシノス結び目に関する純矯飾的手術に関する研究を引き続き行います. 3) 対掌的矯飾的手術を許容しない結び目族に関する研究を進めます.
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次年度使用額が生じた理由 |
社会情勢により研究関連の対面出張の機会が減少したことが原因です.今年度以降は対面の研究集会も増えるので,出張費として計画的に使用する予定です.
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