研究課題/領域番号 |
22K03326
|
研究機関 | 福岡大学 |
研究代表者 |
宮内 敏行 福岡大学, 理学部, 准教授 (60452736)
|
研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
|
キーワード | 回転群のホモトピー群 / 球面のホモトピー群 / J準同型 / 非安定ホモトピー論 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は,球面の非安定ホモトピー群の大域構造を調べることである.Lie群や等質空間など様々な分野で重要な位相空間のホモトピー論的性質を研究する上で重要なものが位相空間のホモトピー群であり,その群構造を調べる上で基礎となるのが球面のホモトピー群である.しかし,球面のホモトピー群,特に非安定ホモトピー群の複雑さからホモトピー群の研究は進展していない.回転群のホモトピー群から球面のホモトピー群への写像であるJ-準同型により,回転群の安定ホモトピー群の周期性による球面の安定ホモトピー群の周期性が知られており,非安定領域においてもJ-準同型により回転群の情報を反映させることで,球面のホモトピー群における大域構造の情報が得られると研究代表者は考えている. 今年度は,回転群のホモトピー群の研究,特に,生成元の位数の決定やJ-準同型による像の情報を得るために,Toda bracket, matrix Toda bracket による生成元の族の構成について研究を行った.Toda bracket により生成元の族をいくつか構成でき,その中には,先行研究により得られている回転群のホモトピー群の生成元の再構成を含むものもあり,既知の部分を含む回転群のホモトピー群の規則性を見出すことができ,J-準同型を通して球面のホモトピー群の情報を得ることができた.matrix Toda bracket による生成元の族の構成には至っていないが,個別の生成元については matrix Toda bracket による構成により位数を決定することができた.
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
回転群のホモトピー群において,Toda bracket により生成元の族をいくつか構成できたが,その中には,構成できる条件が当初考えていたものより強い条件が必要となるものが見つかった.matrix Toda bracket による構成も含めて,構成方法について現在研究中である. また,球面のホモトピー群のEHP系列における matrix Toda bracket の研究も行い,古くから知られている懸垂(E)準同型,H-準同型との関係式に加え,P-準同型との関係式が分かったが,通常の Toda bracket において重要な H-準同型による Toda bracket の像と P-準同型の逆像の関係式に対応する matrix Toda bracket の関係式については判明しておらず研究中である.
|
今後の研究の推進方策 |
回転群のホモトピー群の生成元の族の Toda bracket による構成では,適用できる条件が強いものがあるため, matrix Toda bracket による生成元の族の構成や matrix Toda bracket の一般的性質を中心に研究を行う.合わせて,Jin-ho Lee氏,平戸良弘氏,向井純夫氏,小原まり子氏との共同で研究している回転群のホモトピー群の群構造のホモトピー群の次数ごと計算についても研究を行う.
|
次年度使用額が生じた理由 |
アメリカで開催された研究集会へ参加を予定していたが,新型コロナウイルス感染症の拡大による人数制限があり参加できなかった.今年度メキシコで開催される国際会議への参加を予定している.物品費については図書の購入手続きを行ったが,事務手続きが遅れたため2023年度での購入になった.
|