研究課題/領域番号 |
22K03347
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研究機関 | 北海道教育大学 |
研究代表者 |
和地 輝仁 北海道教育大学, 教育学部, 教授 (30337018)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 概均質ベクトル空間 / レフシェッツ性 / ゴレンスタイン環 / 複素鏡映群 |
研究実績の概要 |
本研究は、概均質ベクトル空間の相対不変式から生成されるアルチンゴレンスタイン環のレフシェッツ性の研究を行うが、まず、可換放物型放物型概均質ベクトル空間から生成される場合について、既存の結果を整理して論文の作成に着手した。これは、京都大学の大学院生であった長岡氏との共著論文となる予定であり、令和4年度中の投稿はかなわなかったが、令和5年度早々には投稿ができる予定である。 また、他のどのような概均質ベクトル空間を研究するかに関わり、放物型ではないものも検討を開始した。具体的には、グラフのキルヒホッフ多項式であり、これは、対称行列の行列式を含むので、可換放物型と一部重複はあるが、まったく別の系列と言ってよい。令和4年度においては、どのようなグラフのキルヒホッフ多項式ならば何らかの概均質ベクトル空間の相対不変式になるかについて、十分条件は得ることができ、これが必要条件でもあることが予想できた。この研究は、城西大学小木曽氏、統計数理研究所中島氏と協力して行っており、令和4年12月に、城西大学小木曽氏、統計数理研究所中島氏とのこのテーマに関するセミナーを釧路で開催した。 さらに、多項式から生成されるゴレンスタイン環のレフシェッツ性に関連して、複素鏡映群の余不変式環のレフシェッツ性に関するこれまでの結果を論文にまとめ、投稿するに至った。これは、計算機を活用した結果であり、計算機では計算しきれない大きな例1つだけが未証明で残っている。 また、令和4年12月には、表現論シンポジウムの世話人を務めた。もう1人の世話人は上述の中島氏であった。本研究課題に関連する話題としては、中島氏の講演や、同じく上述した小木曽氏の講演があった。研究費を活用して、講演集の発行を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
集会の開催や出張が徐々に平常時に戻りつつあり、研究の進展も徐々に好転してきた。実際、集会への参加やセミナーの開催ができるようにはなってきた。 令和4年度には、研究課題に関連するシンポジウム、セミナーを開催でき、数学会等の集会にも参加できた。また、論文については、2件の論文に着手し、そのうち1件は投稿を行った。想定していた状況よりもはっきりと進んでも遅れてもはいないので、「おおむね順調」と判断した。
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今後の研究の推進方策 |
可換放物型放物型概均質ベクトル空間から生成される場合について、既存の結果を整理した論文を完成させ、投稿することを、年度当初に行う。 また、グラフのキルヒホッフ多項式が、いつ何らかの概均質ベクトル空間の相対不変式になるかについて、条件の十分性は既に示しているので、必要性についての証明を進める。また、その後、相対不変式であるようなキルヒホッフ多項式から生成されるアルチンゴレンスタイン環がいつレフシェッツ性を持つかの研究に移る。一般のキルヒホッフ多項式から生成されるアルチンゴレンスタイン環がいつレフシェッツ性を持つかについては、既知の結果があるが、かなり強い十分条件なので、これを改良する意味もある。このテーマについては、小木曽氏、中島氏との打合せを必要に応じて行う。 学会等の集会への参加・講演も行いたい。また、表現論シンポジウムでの各種費用にも研究費を活用し、本研究の課題の進展に努める。また、令和4年度の研究では、計算や証明に計算機をかなり活用したため、場合によっては、計算機の環境の充実に研究費を活用することも検討する。
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