研究課題/領域番号 |
22K03348
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
坂井 秀隆 東京大学, 大学院数理科学研究科, 准教授 (50323465)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | パンルヴェ方程式 / 差分方程式 / 特殊函数 / 超幾何函数 |
研究実績の概要 |
東京大学の細井竜也氏と準備していた共著論文が京大数理研講究録別冊にアクセプトされた.この内容について報告する. リゾヴィーらによって得られていた第6パンルヴェ方程式の解の級数表示は,級数の収束も分からないままであったが,2021年の細井氏の修士論文で,級数の(原点近傍における)収束が示された.細井氏の結果は,パンルヴェ方程式に限らず,函数の満たす斉次2次微分方程式の特異点における最低次の項の形がある条件を満たすという仮定の下に示されたものであった.この形の方程式を,特異点において H 型であると呼ぶことにする.我々は,t = 0, 1, 無限大,のみを 特異点に持ち,そのいずれもが H 型である4階斉次2次微分方程式の形を(簡単なある仮定の下) 決定した.これは第6パンルヴェ方程式を含むものである. この結果については,新しい微分方程式のクラスを提案するものであり,今後の発展についても期待できるものであると思う.ここで提案された方程式が,パンルヴェ性などのよい性質を持つものなのかということには興味がある.線型微分方程式の変形理論との関係も同様である.また,第6パンルヴェ方程式の新しい特徴づけにもなると考えられる.今後の拡張としては,特異点の数を増やした場合,特異点を合流した場合などの問題が考えられる. そのほか,線型差分方程式の積分変換に関する理論についてや,4次元離散力学系についての具体例の計算など,考察を続けている.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
少しづつではあるが,計算も進んできている.このまま続けて目標としている結果にたどり着けると考えている.
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今後の研究の推進方策 |
この研究課題において挙げてきた,具体的な目標である,線型 q差分方程式の変換理論,分類理論,およびパンルヴェ系の拡張である4次元離散力学系の具体例の計算について,研究を続けていこうと思う.
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次年度使用額が生じた理由 |
昨年度航空費の高騰により今年度に割り当てていた科研費を使わせていただいた.次年度使用額は実質はマイナスである.B-A=44,932 は今年度使用するために残した.
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