研究課題/領域番号 |
22K03359
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
坂川 博宣 慶應義塾大学, 理工学部(矢上), 准教授 (60348810)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 相分離界面 / 確率場 / 漸近挙動 / Gibbs測度 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は,物質の相転移によって現れる相分離界面や膜の確率モデルの漸近挙動に関する研究を通して界面・膜に関する物理現象の数学的な解析を目指すことにあったが、2022年度は相分離界面の確率モデルの一つであるGinzburg-Landau∇φモデルにおいて、外場として各点で独立同分布に従う確率変数を化学ポテンシャルとして加えたランダムなGibbs測度を考え、その下で界面が常に正となる事象、いわゆるエントロピー的反発の問題について研究を行った。 ∇φモデルでランダムな化学ポテンシャルを加えた場合の場の振る舞いについては、2000年代後半から研究がなされ、代表的なものとしてKulsuke, Cotar, van Enterらによる無限領域Gibbs測度の存在/非存在の研究などが挙げられるが、Dario-Harel-Peled(2023)によって場の揺動の詳細な評価が示されるなど最近大きく進展している。 また、界面モデルに対するエントロピー的反発の問題は1990年代の後半から現在までに∇φモデルやその特別な場合であるGauss自由場、さらには相互作用を一般化したΔφモデルやSOSモデルなどに対し様々な研究がなされている。 本研究では∇φモデルでランダムな化学ポテンシャルを加えた場合は外場の確率変数の末尾確率の振る舞いによって界面が常に正となる確率の漸近挙動が変化することを示すことができた。ただ、いくつかの評価において次元やポテンシャルの強い仮定を必要としており、論文とし発表するべく引き続き研究を継続することとした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
Ginzburg-Landau∇φモデルにおいて、外場として各点で独立同分布に従う確率変数を化学ポテンシャルとして加えたランダムなGibbs測度を考え、その下で界面が常に正となる事象、いわゆるエントロピー的反発の問題について研究を行い、ある程度非自明な結果を得ることができたため。
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今後の研究の推進方策 |
引き続き確率界面モデルの漸近挙動に関する解析を進める。 特に,対象としているGinzburg-Landau∇φモデルでは相互作用ポテンシャルの凸性を弱めた場合の研究などが最近急速に進展しており、そこで用いられている解析的な手法が考えている問題に対し有効でないか検討したい.
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次年度使用額が生じた理由 |
参加を予定していた研究集会に参加できなかったために次年度使用額が生じた。当初の計画と大きく変えることはせず、次年度分と合わせて旅費および物品費に使用する予定である。
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