研究課題/領域番号 |
22K03361
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
横山 聡 東京大学, 大学院数理科学研究科, 特任研究員 (70643774)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2027-03-31
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キーワード | 確率解析 / 確率偏微分方程式 |
研究実績の概要 |
水と氷など性質が異なる2つの物質に現れる境界面の時間発展に関し確率偏微分方程式を道具に調べている。確率項が含まれない決定的な系では多くの研究結果が存在しており手法を参考にしているが、確率項であるノイズは時間に関する正則性が良くなく、それが起因して議論を進める中で多くの壁に直面し工夫が必要である。我々は反応拡散方程式であるアレンカーン方程式を基礎として考える。反応項から平均を差し引いた体積保存型とし、外力項としては輸送項が乗じられた確率項を考えたモデルを採用する。これらに微小パラメーターを付加された体積保存型確率アレンカーン方程式とその特異極限で得られる方程式について研究を引き続き実施している。低温状態に相当する正の数の微小パラメーターを係数に持つ双安定の反応項によって駆動される2階放物型偏微分方程式には、輸送項にホワイトノイズである乗法的ノイズが付加されている。微小パラメーターを0に近づけることにより確率偏微分方程式の解は反応項の安定点に集中し、その結果2つの安定点を分離する相である超曲面が現れることがわかる。極限移行操作による確率項付き平均曲率方程式への収束については漸近展開と確率解析の手法を用いて議論を進めている。ノイズの正則性の悪さから確率分布の意味で収束する滑らかな近似列でノイズを置き換えた近似方程式を考え議論を行っている。技術的な調整、工夫をすべきところがあり、限定的な仮定の下で証明を遂行している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
輸送型ノイズで駆動される体積保存型確率アレンカーン方程式に関しては、ノイズの正則性の悪さから起こる技術的な調整、工夫をすべきところがある。現時点は限定的な仮定の下で証明を進めている。
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今後の研究の推進方策 |
今後はCahn Hilliard方程式に確率的要素が含まれた系に対しても範囲を広げ遂行していく。
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度以降は情報収集、議論のために研究集会参加、出張を予定したい。併せてソフトウェア、周辺機器の更新も予定する。
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