研究課題/領域番号 |
22K03364
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研究機関 | 長野工業高等専門学校 |
研究代表者 |
林本 厚志 長野工業高等専門学校, リベラルアーツ教育院, 教授 (90342493)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2027-03-31
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キーワード | 固有正則写像 / 複素擬楕円体 / ディリクレ問題 |
研究実績の概要 |
鏡像の原理とは、次のことを指す。2つの有界領域の間に固有正則写像があったとする。領域外の点で、鏡像の関係にある点が領域内にあるとする。その対応を鏡像の対応ということにする。定義域外の点zに対して鏡像の対応を作り、それと固有正則写像を合成する。その像に対して鏡像の対応で決まる点wが定まる。この時zにwを対応させる対応が正則写像になっていることを示すのが鏡像の原理である。鏡像の原理を使って、次元のなる領域の間の固有正則写像の定義域の拡張問題を考えるのが、この研究の目標である。・これまでに「次元の異なる球に対しては、その間の固有正則写像が連続的に拡張できない例がある」ということは知られている。これが他の領域でも成り立つかを調べるのが、今年度の計画であった。次元の異なる複素擬楕円体を考える。ただし値域の次元は定義域の次元に比べて十分大きいとする。この時、「それらの間の固有正則写像で、連続的に拡張できない例が存在する。」ということが分かった。・連続的に拡張できないのは、次のように構成する。単位円周上の連続函数に対してディリクレ問題を解くことで円板内部の調和関数を作り、それを実部に持つ正則関数で、虚部が円周上で連続でないものを作ることができるこの正則関数をもとに、固有正則写像を作ることができる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
・該当年度までの目標は「連続的に拡張できない例が起こる原因を調べ、それを複素擬楕円体の場合に適用する」であった。 ・該当年度にはでは、連続的に拡張できない理由がディリクレ問題の会にあることが分かり、それを複素擬楕円体に応用することができた。それを使い、実際に次元の異なる複素擬楕円体の間の固有正則写像で、境界まで連続的に拡張できない例を作ることができた。 ・以上により研究はおおむね順調に進展していると判断する。
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今後の研究の推進方策 |
・該当年度では、しかるべき領域の間の固有正則写像で、境界まで連続的に拡張できない例を作ることができた。 ・今後は連続的に拡張できるための十分条件を求めたい。今のところの予想としては、「定義域の特殊なアフィン超平面を値域のアフィン超平面に移す、という条件があれば連続的に拡張できる」というものがある。特殊なアフィン超平面を使って鏡像の原理を応用し、定義域を拡張した正則写像を構成することができるのではないか、と思っている。
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次年度使用額が生じた理由 |
・昨年度は、研究集会の数が少なかったため、あまり出張をしなかった。そのため旅費として多くの予算を申請していたが、その分が残ってしまった。
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