研究課題/領域番号 |
22K03394
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研究機関 | 東京理科大学 |
研究代表者 |
加藤 圭一 東京理科大学, 理学部第一部数学科, 教授 (50224499)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2027-03-31
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キーワード | シュレーディンガー方程式 / 波束変換 / シュレーディンガー方程式の解の構成 / シュレーディンガー方程式の数値計算 |
研究実績の概要 |
空間方向に関して滑らかで空間遠方で2次増大のポテンシャルをもつシュレーディンガー方程式は,波束変換により1階の偏微分方程式(正確には1階の偏微分方程式に剰余項が付いたもの)に変換でき,それに特性曲線の方法を用いると増大する項が位相関数にのみでてくる(つまり,増大する項が絶対値が1となるところにしかでてこない)積分方程式が得られることがこれまでの我々の研究でわかっている.この積分方程式は,解が初期値とポテンシャルのみからなる項(以下,第1項と呼ぶ)とポテンシャルの2階微分の項と解の積分からなる項(第2項)の和で書けるというものである.本研究では,この第1項のみを用いて解を構成する. 具体的には,T>0とし,自然数Nに対しシュワルツの急減少関数をNが大きくなると集中するようにスケール変換しておき,その関数で波束変換して得られた第1項を用いて初期時刻からT/Nだけ時間発展する.それをN回繰り返して得られる近似解にたいし,Nを無限大とすると真の解が得られる. 今年度は,この方法で真の解が得られること,真の解に近づく速さはNに関して1次になることを示すことができた.また,研究協力者の牛島健夫氏(東京理科大学創域理工)とこの方法を用いた数値計算について共同研究を行った.数値計算については空間次元が1次元の場合にMatLabを用いて具体的なプログラムを作成し,先行研究と比較しているところである.先行研究に対しどのようなアドバンテージがあるのかはまだ明確になっていない.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初計画では,解の構成については電磁場のポテンシャルを持つ場合に考察する予定であったが,電場のポテンシャルを持つ場合に留まっている.磁場のポテンシャルの扱いが複雑なためである. 初年度に空間次元が2次元および3次元の場合の数値計算を行う予定であったが,現状は空間次元が1次元の場合の検討に時間がかかっている.先行研究との比較が難しいことが主たる理由である.
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今後の研究の推進方策 |
電場のポテンシャルを持つ場合は研究がかなり進んできたので,今年度以降は電磁場のポテンシャルを持つ場合の研究に進みたい.磁場のポテンシャルがある場合にも同じ方法で解の構成が得られると期待している. 数値計算においては,1次元の場合の数値計算を完成させ,先行研究と比較して,論文にまとめる.その後,空間次元が2次元あるいは3次元の場合の数値計算を行う.
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルス感染症対策のため,出張を控えたことと出席予定の研究会がオンラインでの開催であったことから,次年度使用額が生じた.
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