研究実績の概要 |
今年度は次の三つの研究を行った。 (1)島根大学のAlexander Gavrilyuk氏との共同研究で、Witt 4-(11,5,1)デザインから得られるアソシエーション・スキームの一意性を示した。Delsarte理論からそのようなデザインからQ-多項式型アソシエーション・スキームが得られる。University of WyomingのJason WillifordによりQ-多項式型アソシエーション・スキームの分類・存在・非存在に関する表がまとめられており、この例はクラスが3の原始的なものの中で、分類が完成していなかった最小の頂点数のものである。証明は、アソシエーション・スキームの球面への表現を通じて、球面上の距離集合の問題に帰着させ、計算機を用いた。
(2)中国科学技術大学のJack Koolen氏、University of LethbridgeのHadiKharaghani氏との共同研究で、スペクトル半径が最小となるような無向グラフの符号付けを考察した。そのような符号付けはラマヌジャングラフとの関連が指摘されている。本研究では、符号付けがweighing行列となるようなグラフの例を多数与えることで、スペクトル半径が最小となる例を多数構成した。また、最小となるかどうかは未解明だが、Lin-Liuの予想を満たす例も構成した。
(3)Nanyang Technological UniversityのGary Greaves氏との共同研究で、正方行列から得られるブロックデザインの研究を行った。アダマール行列やアソシエーション・スキームの隣接行列といった、正則性の高い行列から2-,3-デザインを得る方法を提唱した。現在、論文を執筆中である。
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