研究課題/領域番号 |
22K03413
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研究機関 | 島根大学 |
研究代表者 |
鈴木 聡 島根大学, 学術研究院理工学系, 准教授 (70580489)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | 最適化問題 / 準凸最適化問題 / 応用数学 / 凸解析 |
研究実績の概要 |
最適化問題とは、与えられた制約条件の下で目的関数の最小値とそれを与える点を求めよという問題である。各種の環境下で利益を最大にしたり、費用を最小にするような計画を立てる場合、これを最適化問題として捉えることにより、迅速に効果の高い決定を行うことができる。最適化問題には様々な種類があるが、本研究においては準凸最適化問題を取り扱う。準凸最適化問題は各関数が準凸関数で表されるような問題をいい、経済学等の問題を最も適切に数理モデル化できる手法の一つである。最適解の必要条件あるいは十分条件は最適性条件と呼ばれ、微分や劣微分を用いた様々な条件が提案されているが、準凸最適化においては未解決課題が多く残されている。本研究では最適性条件に関する研究の一つとして、準凸最適化問題に対する劣微分を用いた最適性条件について研究する。このことを鑑み、当該年度においては次のような研究を行った。 ・凸集合関数に対する劣微分を定義し、これを用いた最適性条件を示した論文が出版された。本論文では凸解析における劣微分を参考に集合関数に対する劣微分を定義し、その性質について考察するとともに、KKT型の最適性の必要十分条件を示している。 ・準凸最適化問題に対する共役関数を用いた最適性条件を示した論文が採録決定となった。本論文では3種の共役関数を用いた条件を提案し、特定の仮定を満たす目的関数に対して、これらが最適性の必要十分条件となることを示した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
凸集合関数に対する最適性条件に関する研究が予定通りに達成できたため。特に集合関数に対する劣微分を定義し、subdifferential sum formula, 共役関数との関係, 最適性の必要十分条件などを示すことが出来た。
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今後の研究の推進方策 |
予定通りに推進する。準凸最適化問題の最適性条件に関する研究をさらに充実させると共に、得られた結果を用いて多目的最適化や制約想定に関する研究を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウィルス感染症の影響で、参加予定だった研究集会が対面参加の人数制限やオンラインでの開催となり、旅費としての執行ができなかったため次年度使用額が生じた。 使用計画としては、研究成果発表及び研究打合せのための出張費として35万円、関連図書購入費用として10万円、論文オープンアクセス化及び別刷の購入のために10万円をそれぞれ充てるよう計画する。
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