研究課題/領域番号 |
22K03437
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
田上 大助 九州大学, マス・フォア・インダストリ研究所, 准教授 (40315122)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 特性曲線法 / 一般化粒子法 / 粘弾性流れ / 誤差評価 / 創成解 |
研究実績の概要 |
粒子法は偏微分方程式に対する数値計算手法の一つであり, その特徴から移動境界問題への適用が盛んに行われている. また差分法や有限要素法などの数値計算手法と比較して遅れていた粒子法に対する数学的基盤も, 徐々に整備が進んでいる. 研究代表者は, 固定領域上における移流拡散問題や非圧縮粘性流れ問題に対する特性曲線一般化粒子法を提案し, その誤差評価を得ている. 本研究課題ではこの成果を活用し, 粒子法の数学的基盤の整備における次の段階として, 固定領域上における非圧縮粘弾性流れ問題に対する粒子法の数学的基盤の整備, および提案する手法に基づくプログラム開発・計算機実装・精度検証を行う. 今年度は, 本研究課題の目的とした項目のうち, 微圧縮性を考慮した上で時間積分に分数段近似を用いた近似手法を導入し, その計算機実装と数値実験の準備を行った上で, 導入した特性曲線一般化粒子法を用いた数値実験の一つである創成解問題への適用を試みた. この数値実験では, これまでに研究代表者が移流拡散方程式や非圧縮粘性流れ問題で得ていた, 特性曲線一般化粒子法に対する数値解析の結果と計算機実装の結果を拡張することで実施している. これにより, 導入した特性曲線一般化粒子法の基本的な安定性や適切性を数値実験的な観点から確認できたため, 予定していたうちの1項目について予定通りの成果を得た. またこれらの成果を, 粒子法の研究者組織として国際的に認知されているSHERICが主催する国際会議へ投稿する準備を行い, 査読を受けた後に講演を受理された. これにより, 得られた成果を粒子法の数値計算に関係する研究者の間に国際的にも周知するための準備を行うことができた.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究実績の概要欄でも述べた通り, 本研究課題では最初に, 最終的な目標である非圧縮粘弾性流れ問題をある意味で近似する, 微圧縮性を考慮した上で時間積分に分数段近似を用いた近似手法を導入し, その計算機実装と数値実験の準備を行った上で, 導入した特性曲線一般化粒子法を用いた数値実験の一つである創成解問題への適用を試みた. この数値実験では, これまでに研究代表者が移流拡散方程式や非圧縮粘性流れ問題で得ていた, 特性曲線一般化粒子法に対する数値解析の結果と計算機実装の結果を拡張することで実施している. これにより, 導入した特性曲線一般化粒子法の基本的な安定性や適切性を数値実験的な観点から確認できたため, 予定していたうちの1項目について予定通りの成果を得た. さらにこの成果を, 粒子法の主たる研究者組織の1つとして国際的にも認知されているSHERICが主催する国際会議へ投稿し, 査読を受けた後に講演を受理された. したがって, 得られた成果が一定の国際的な水準に達していることが第三者による評価によって示された. 以上のことから, 本研究課題はおおむね順調に進展していると判断できる.
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今後の研究の推進方策 |
本研究課題は, "非圧縮粘弾性流れ問題に対する特性曲線一般化粒子法の導入と誤差評価", "数学的基盤が整備された特性曲線一般化粒子法の計算機実装と誤差評価の再現実験", および "非圧縮粘弾性流れ問題に対する特性曲線一般化粒子法の実問題への応用" の3項目を明らかにすることを, 計画段階において目的とした. 現在までの進捗状況欄でも触れた通り, 目的とした3項目のうち "数学的基盤が整備された特性曲線一般化粒子法の計算機実装と誤差評価の再現実験" について, 微圧縮粘弾性流れ問題に対して提案した特性曲線一般化粒子法の安定性や適切性について一定の成果を上げた. そこで今後は, まず最初に, 微圧縮粘弾性流れ問題に対する特性曲線一般化粒子法について, これまでに移流拡散方程式や非圧縮Navier--Stokes方程式に対する特性曲線一般化粒子法に対して行ってきた数値解析の知見などを利用してその数学的基盤の整備を図る. またこれらの成果を基に, 粒子法に対する誤差評価を重要課題として取り上げ関心を持ち当該分野において世界的に広く認知された国際会議にて成果発表を行い, 研究代表者が得た成果の国際的な周知を図ると共に, 今後の研究計画策定に必要な情報収集などを行う.
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次年度使用額が生じた理由 |
感染症拡大の影響により, 本研究課題に強く関連していることから毎年参加し, 得られた研究成果の発表を行っていた国際会議SPEHRICを筆頭に, 複数の国際会議や国内学会が中止または遠隔開催となった. これにより成果発表の機会が失われただけでなく, 対面開催であれば確保できていた関連分野を国際的に牽引する複数の研究者との研究討論や研究打ち合わせの機会も失われた. これらの機会を新たに確保することで, 成果発表に伴う第三者の視点から見た研究成果の改善などより精緻な研究目的の達成を見込むことが出来る. 従って, 中止または遠隔開催となった国際会議や国内学会のために確保していた使用額を, 次年度に開催が期待される本研究課題に関連する複数の国際会議や国内学会へ参加するために, 次年度使用額が生じた. また予定よりも多くの数値実験を行うことによって得られた膨大なデータを, 上で述べた新たな研究成果発表の機会で有効に活用するために必要な計算機関連機器の整備が必要となったため, 次年度使用額が生じた.
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