研究課題/領域番号 |
22K03513
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
多田 靖啓 広島大学, 先進理工系科学研究科(先), 准教授 (20609937)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | ディラック電子 / 磁場 / 電子間相互作用 / SPT / 対称性 |
研究実績の概要 |
本年度は、まずDiracフェルミオン系における反磁性を研究し、その結果を論文として発表した。Diracフェルミオン系の反磁性に対する相互作用の効果についての研究は限られているが、グラフェンに関する研究によると反磁性は相互作用により弱められるという理論的報告がある。一方、我々の用いたモデルでは反磁性は相互作用に対して頑強であり、しかもそれはあるクラスのDiracフェルミオン系では普遍的に成り立つということを指摘した。 次に、Dirac系と直接は関係ないが興味深い研究対象として、gapless SPTと呼ばれる状態について共同研究者とともに解析を行った。もともとSPT=対称性に守られたトポロジカル相は基底状態と励起状態の間にエネルギーギャップのある(gappedな)系に対してのみ議論されてきたが、近年、これをgaplessな系に拡張しようという研究が進展している。本研究では、比較的に実験的実現可能性が高いと期待される単純なスピン系モデルを考え、そこにおけるgapless SPT状態の出現を数値計算及び解析計算を用いて示した。特に、このgapless SPTは空間反転対称性によって守られた相であることを指摘した。 また本年度は、磁場中Diracフェルミオンの研究から派生した研究対象である、磁場中空間対称性についても議論を展開した。 加えて、スピン系の研究からの繋がりとして、スピンネマティックについても研究を始めている。少しずつ研究結果が出てきているが、今後より詳細な解析を進める予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初の研究対象である磁場中Diracフェルミオン系から派生した、磁場中対称性については一定以上の進展がある。その分Diracフェルミオン系についての解析が遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
磁場中Diracフェルミオン系について、新たな計算を開始する予定である。これまで蓄積した知見・研究経験を活用し、この系の特徴を踏まえて理論解析を行うことで、研究を加速させたいと考えている。
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度使用額が生じた理由は大きく3つある。1つ目はコロナ禍対応として別の研究費の期間延長を行ったためであり、2つ目は独立基盤形成支援を受けることができたからである。また3つ目として、出張に関して別予算を優先的に用いてきたことが挙げられる。次年度は、さらなる研究環境整備・充実化のために計算機などの物品を購入するとともに、成果発表や情報収集を行うための国内・海外出張を計画している。
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