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2023 年度 実施状況報告書

基底状態観測と物質設計に基づく定常励起子の制御

研究課題

研究課題/領域番号 22K03536
研究機関分子科学研究所

研究代表者

福谷 圭祐  分子科学研究所, 光分子科学研究領域, 助教 (10706021)

研究期間 (年度) 2022-04-01 – 2025-03-31
キーワード励起子絶縁体 / 光電子分光 / 強相関電子系
研究実績の概要

本研究課題の目的は、これまで主に半導体等に光照射を行うことによって生成される過渡的な粒子であると考えられてきた励起子が、「励起子絶縁体」と呼ばれる物質内においては、自発的に生成される(定常励起子)という近年の発見に基づき、それら定常励起子の性質を明らかにするとともに、物質設計の観点からその性質の制御を行うことである。昨年度における研究では、励起子絶縁体の元素比および温度の制御を用いて、定常励起子制御の根幹となる電子と正孔の結合力の変化を確認することに成功した。これらの結果に基づき本年度においては、外部電場による励起子制御を行うために適した電気陰性度の極めて高い分子(アクセプター分子)、および電気陰性度の極めて低い原子(ドナー原子)の選定を行い、F6-TCNNQ (2,2′-(Hexafluoronaphthalene-2,6-diylidene)dimalononitrile) 分子とCsの原子を用いることを決定し、これらの物質を1分子膜・原子膜の精度を持って蒸着可能な蒸着機構の作成および実験装置への組み込みを行った。これらの蒸着機構は本年度中において実験に利用可能な状態に活性化しており、またARPES測定を行う超高真空チャンバーへ真空を破らず輸送可能な状態でのセットアップが完成した。
また、昨年度において取得済みの実験データの解析をほぼ終了し、前述の元素比および温度変化による定常励起子制御の成果の論文執筆を開始している。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

本年度においては定常励起子の電場制御を行うための実験環境(光電子分光装置への分子線エピタキシー蒸着機構の建設)の完成だけでなく、実際にそれら蒸着機構を用いて励起子絶縁体に電場印加を行い、光電子分光を用いて定常励起子の観測を開始する予定であったが、建設作業の遅れ等から実験の開始は来年度となる見込みである。

今後の研究の推進方策

本研究課題の現状は、目的である励起子絶縁体における定常励起子の制御に関して(1)温度制御による制御、および(2)物質組成による制御の2点において有用な成果が得られている。本研究計画では、これら2つの制御方法に加え分子・原子蒸着による電場印加を行い、その定常励起子の性質の変化を観測することが必要である。したがって、今後は完成した蒸着機構を用いて上述のF6-TCNNQ分子およびCs原子の吸着量を制御しつつ定常励起子の観測を逐次行うことにより、励起子絶縁体における定常励起子制御の3手法の確立を目指す。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2023 その他

すべて 国際共同研究 (1件) 学会発表 (1件) (うち国際学会 1件)

  • [国際共同研究] 基礎科学研究院/浦項工科大学校(韓国)

    • 国名
      韓国
    • 外国機関名
      基礎科学研究院/浦項工科大学校
  • [学会発表] Explorations for spontaneously formed excitons in narrow-gap semiconductors and semimetals2023

    • 著者名/発表者名
      Keisuke Fukutani
    • 学会等名
      IMS Photoemission symposium: Seeds and Needs for Tomorrow's Synchrotron Radiation Photoelectron Spectroscopy Research
    • 国際学会

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公開日: 2024-12-25  

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