研究課題/領域番号 |
22K03554
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研究機関 | 大阪公立大学 |
研究代表者 |
杉崎 満 大阪公立大学, 大学院理学研究科, 准教授 (20360042)
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研究分担者 |
村上 明男 神戸大学, 理学研究科, 理学研究科研究員 (50304134)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 顕微鏡 / 光合成 / 光物性 / 生物物理 / 非線形光学 |
研究実績の概要 |
本研究は,線形,および非線形分光法を応用した新しい超解像度顕微鏡法を開発することにより,試料を染色することなく回折限界を超える空間分解能で顕微鏡画像の取得する方法を確立することを目標としている.開発する手法を用いることにより,従来の顕微鏡観察よりも高分解能で光合成色素の細胞内分布が可視化されるものと期待している. 昨年までの研究において,Fluorescence emission difference (FED) 法を用いた顕微鏡を構築し回折限界を超える空間分解能を達成した.本年度は更なる空間分解能の向上のために,顕微鏡の改造を行った.具体的には,画像を取得する際の励起光およびdepletion光の走査方法を,ピエゾ素子を用いたステージスキャン型からガルバノスキャナ―を用いたビームスキャン型に変更した.光学配置やデータの取得方法を工夫することにより,画像のピクセル間隔が約5倍向上し,その結果,空間分解能をほぼ理論限界値に到達させることができた.試料の劣化を最小限に抑えるため,今後は画像の取得時間の短縮が課題となる. また本年度の研究において,本研究で着目しているシアノバクテリアの光学素過程を観測するためには,従来よりも短波長のレーザーを用いたほうがスペクトルの微細構造がより明瞭に観測可能となることが分かってきた.そのため,昨年度開発を行ったスペクトル分解顕微分光システムの改良も行った.その結果,ステート遷移に伴う光合成色素の空間分布の明確な変化を観測することができた.さらに顕微鏡観測で得られた画像から予想される細胞内における3次元的な色素の空間分布を決定するために,プログラムを作製した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
初年度に装置の故障があったため.本年度はその遅れをかなり取り返したと考えているが,現在もデータ取得に遅れが生じている.
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今後の研究の推進方策 |
スペクトル分解顕微鏡観察においては,励起光の形状を工夫することにより,さらに空間分解能を向上させることができると考えているため,来年度はこの課題を遂行する.これにより,FED法とスペクトル分解顕顕微鏡の融合が可能となり,スペクトル分解FED顕微鏡法が実現されるものと考えている.
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次年度使用額が生じた理由 |
装置の故障(修理代を直接経費「その他」より支出)により研究の一部を実施することができなかったため.遅れた分の研究は来年度6月までに行う予定であり,その際に繰り越した予算を執行する.
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