| 研究実績の概要 |
非平衡プラズマ中においては、電子エネルギー分布関数や、励起状態数密度分布は、一般に Boltzmann 分布には従わない。そのような非平衡状態に対しても、統計力学的には、エントロピーSと内部エネルギーUを用い、1/T=∂S/∂Uとして温度Tを定義できる可能性がある。しかしながら、この計算においてはエントロピー最大化の原理が適用されるべきであり、非平衡の場合にはGibbsエントロピーではなく、Tsallisあるいは Renyiのエントロピーなど、非加法的エントロピーが候補となる。我々は、水素プラズマ中の励起状態密度分布、さらには低温弱電離プラズマの電子エネルギー分布に着目して、その非加法的エントロピーから新たに定義される各種の温度について計算し、巨視的な意味で理解される「各種温度」と、エントロピーを用いて偏微分計算から導出される「統計力学的温度」の関係を検討した。Nonextensive統計力学の一種であるTsallis統計力学では, Gibbsエントロピー非加法的拡張であるTsallisエントロピーをq-平均エネルギーの制約条件の元で, 最大化することで, Tsallis分布を導出することが出来る. Tsallisエントロピーから計算される温度Tq-Tsallisは厳密に確率密度分布から計算されるTq-βと同一であった。これは Tsallis 統計では既に証明されている事項ではあるが、弱電離非平衡プラズマ中の水素原子励起状態に関しても確認されたという意義を有し、大きな意味を持つ。さらに、既知の事実であるTq-Tsallis=Tq-βのみならず、これは未証明の命題であるが、q-平均温度 T<Uq>がこれらTq-Tsallis およびTq-βと同一の値を取ることが、少なくとも今回の計算の範囲内で確認された。
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