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2022 年度 実施状況報告書

多階層性に注目した磁気圏界面におけるプラズマ乱流輸送機構の研究

研究課題

研究課題/領域番号 22K03568
研究機関兵庫県立大学

研究代表者

沼田 龍介  兵庫県立大学, 情報科学研究科, 准教授 (30615787)

研究期間 (年度) 2022-04-01 – 2025-03-31
キーワード微視的乱流 / ジャイロ運動論 / 階層性 / シミュレーション
研究実績の概要

本研究では,微視的なプラズマ乱流輸送がマクロな磁気圏ダイナミクス与える影響を明らかにするために,運動論シミュレーションによる解析を行っている.
本年度は,非一様プラズマにおいて電磁的乱流輸送を引き起こす原因となるマイクロテアリング不安定性の不安定化機構の解析を行った.スラブ配位における衝突性マイクロテアリングの不安定化機構について,粒子間衝突に起因する熱力によって電磁場ゆらぎの位相のずれがゆらぎの成長を起こす原因となることを示した.磁気圏において無衝突であると考えられるプラズマであっても,磁場に捕捉される粒子に起因する同様の作用により無衝突でも不安定化が起こり得ると考えられる.
また,磁気圏プラズマのシミュレーションを実施するためには,惑星磁場の非一様な構造を組み込む必要がある.核融合研究で用いられる磁力線に沿った局所シミュレーション手法を磁気圏に応用するために,磁気圏磁場配位を適切な座標系に変換するインターフェースを開発した.プラズマの圧力(磁気圧との比であるベータ値によって特徴づけられる)が小さく,平衡磁場配位が真空双極子磁場で近似できる場合での動作確認を行った.惑星磁気圏や磁気圏型プラズマ閉じ込め実験装置で実際に観測されるプラズマの圧力は高いと考えられるため,真空磁場で近似できない.高い圧力(高ベータ)を持った磁気圏プラズマのシミュレーションを実施するために,平衡計算の準備を進めている.また,高い非一様性を持った磁気圏プラズマの非線形シミュレーションを高効率で実施するために,新たにGPUベースコードでの動作検証も進め,非線形での計算環境を拡充した.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

当初計画では,マイクロテアリング不安定性の理論を磁気圏磁場に拡張し,磁気圏界面における不安定パラメタ領域を同定し,乱流輸送が発生する状況を同定する計画であった.スラブ配位における理論的な解析によって,不安定化機構の理解が進展したものの,磁気圏シミュレーションのコード開発・動作検証が遅れているため,磁気圏シミュレーションが実施できていない.
磁気圏でプラズマを閉じ込める双極子磁場は,磁場の強さが磁力線に沿って大きく変動すること,磁気シアがないなど,核融合で用いられる磁場と異なる特徴を持つが,本研究で使用するシミュレーションコードは,核融合プラズマ研究のために開発されたものであり,双極子磁場配位に対しては,十分に動作が検証されているとは言えない.そのため,研究協力者と議論し,線形不安定性の解析を通して,理論解析との比較,異なるコードとのクロスベンチマークを行って,コードの動作検証を進めている.

今後の研究の推進方策

磁気圏プラズマ配位の設定について,これまで低ベータプラズマを仮定し真空磁場でのみ計算が行われてきたが,高ベータプラズマに対して計算を実施できるようにするため,高ベータプラズマ平衡を計算するコードを整備し,ジャイロ運動論シミュレーションに適用する.協力者が開発した平衡解析コードの提供を受けた.また,新たに機械学習を用いた高速なコードの開発について検討する.また,磁力線方向の密度温度分布の非一様性を取り扱えるようにするための理論モデルの拡張を行う.

磁気圏における微視的乱流輸送の非線形シミュレーションを実施する.これまで,磁場揺動をともなわない静電的な乱流についての研究があるが,これを再現し,磁気圏で見られる圧力勾配をさかのぼる内向き拡散現象に対して磁気圏の磁場構造が与える効果について解析を行う.さらに,本研究で目的とするマイクロテアリングモードの不安定化について,捕捉粒子による不安定化機構の解析を実施する.これらのシミュレーション解析を通して,磁気圏における乱流輸送に対する非一様な磁場の効果を明らかにする.

次年度使用額が生じた理由

当初,プラグラム開発とデータ解析のための計算機購入と研究打ち合わせのための海外出張旅費への支出を予定していたが,海外出張旅費が高騰しているため計算機の購入を見合わせた.次年度も当初予定の海外出張を優先して実施する.
データ解析用に購入予定であった計算機については見込みが立たない.新規に申請したプリンストン大学の計算機リソースの利用が認められたため,一部はこれで対応できる.

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2023 2022

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (1件) (うち国際学会 1件)

  • [雑誌論文] Destabilization mechanism of the collisional microtearing mode in magnetized slab plasmas2023

    • 著者名/発表者名
      Yagyu Mitsuyoshi、Numata Ryusuke
    • 雑誌名

      Plasma Physics and Controlled Fusion

      巻: 65 ページ: 065003~065003

    • DOI

      10.1088/1361-6587/accbeb

    • 査読あり
  • [学会発表] Gyrokinetic simulations of electromagnetic turbulence in a dipole configuration2022

    • 著者名/発表者名
      R. Numata
    • 学会等名
      64th Annual Meeting of Division of Plasma Physics, Americal Physical Society
    • 国際学会

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公開日: 2023-12-25  

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