研究課題
種子への大気圧プラズマは発芽、またその後の成長といった植物の応答を誘導できる。社会実装および学術的観点から、この機構解明には、種子内へのプラズマ起因化学種導入量の定量的評価が欠かせない。しかしながら、プラズマ照射された種子から化学種を実測した報告例はない。そこで本研究では、種子内へのプラズマ起因化学種導入の実験的証拠を世界へ提供するため、プラズマ照射によって種子内に導入される化学種の検出・同定および微量定量測定法を創成した。本研究の実施計画に従い、化学種としての第一のターゲットとして、種子の休眠打破を誘導するがその分子メカニズムが不明な硝酸イオンNO3-とした。検出および同定には、Quadrupole mass spectrometer(QMS)、Liquid chromatography-multi-wavelength detection (LC-MWD)を用いた。定量分析には、Liquid chromatograph-tandem mass spectrometer(LC-MS/MS)を用いた。このNO3-の導入経路をCOMSOL社により、1Dモデルの化学反応シミュレーションにより導いた。本研究成果は、これまでミッシングリンクとなっていた、プラズマ照射によって種子に供給される化学種を測定する方法である。よって、本方法がプラズマ照射による生体応答誘導技術の定量評価を可能とするものと期待できる。
1: 当初の計画以上に進展している
既にNO3-に対し種子内へのプラズマ起因化学種導入量の定量的評価法の創成に成功しており、2023年度に計画していた化学種の種子内分布の把握に着手済みであるため。
化学種の種子内分布の把握に着手したところ、プラズマ照射によって修飾を受ける種子側の分子の検出および定量評価が重要であることが分かった。今後は、GC/MSを利用し、当該分子の同定や、LC-MS/MSを用いた定量測定を追加で行っていく。
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