研究課題/領域番号 |
22K03591
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研究機関 | 鶴岡工業高等専門学校 |
研究代表者 |
吉木 宏之 鶴岡工業高等専門学校, その他部局等, 教授 (00300525)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | プラズマ気液界面反応 / プラズマ還元 / マイクロ流路反応装置 / 単分散ナノ粒子 / 金ナノ粒子 |
研究実績の概要 |
本研究では、マイクロ流路内で大気圧プラズマ気相と溶液の気液二相合流を実現する事で(気液界面積)/(溶液容積)≫1、かつ生成核の拡散成長の自動停止による単分散ナノ粒子のワンステップ合成の知見を得ることを目的とする。具体的にはグルコースやエタノールの酸素酸化触媒能を発現するφ2-5 nmの単分散金ナノ粒子(AuNPs)合成や、カーボンナノチューブ(CNT)との複合ナノ材料(AuNPs@CNT)の作製をマイクロ流路内プラズマ気液相合流で達成する。本年度はマイクロ流路内合成の予備実験として、単層カーボンナノチューブ(SWNTs)を分散した塩化金酸(HAuCl4)溶液200-300μLに大気圧Heプラズマ照射をして粒径:1~5 nmのAuNPs@CNTの合成条件を探索した。 AuNPs@CNT合成手順は以下の通りである。エタノール10 mLにSWNTs(ZEON SG101)1 mgを添加し、超音波洗浄機で30分間撹拌してCNTs分散液を作製する。次にCNTs分散溶液200μL、HAuCl4水溶液100μLを混合して超音波洗浄機で30分間撹拌する。攪拌後のCNTs分散HAuCl4溶液を96穴マイクロウェルに滴下して大気圧Heマイクロプラズマを照射する。大気圧Heマイクロプラズマは、φ0.90 mm、長さ20 mmのSUS細管(注射針)にHeガス(流量550 mL/min)を導入し、RF電力(13.56 MHz、4 W)を印加して生成した。プラズマ処理液を遠心分離後にTEM-EDS観察した結果、(1)Auモル濃度:0.27 mM、プラズマ照射時間:1 min、3 minでの平均粒径はそれぞれ1.09 nm、1.61 nm、(2)Auモル濃度:0.53 mM、プラズマ照射時間:1 minで平均粒径は2.35 nmを得たが、粒径10 nm以上にも分布しており単分散に課題がある事が分かった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
気液二相合流マイクロ流路の試作を外注する必要が有り、流路形状の決定に時間がかかっている。また、流路内流体の挙動を可視化するシュリーレン装置の仕様決定に時間がかかり購入を次年度(R5年度)に繰り越した。
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今後の研究の推進方策 |
プラズマ気相と溶液相との相合流を実現するマイクロ流路の設計・試作を行なう。既存のマイクロ化学チップの相合流マイクロ流 路の幾何形状を応用して、流路幅、流路長の最適化により気液二相合流マイクロ流路を試作する。マイクロ流路内プラズマ生成は研究代表者が 確立したパルス放電手法で行う。マイクロ流路内のプラズマ気液二相の層流・乱流の挙動をシュリーレン法で解明するとともに、流体解析シミ ュレーションにより相合流の最適化を図る。その為、シュリーレン測定用光学系一式とビデオ録画装置を設備として導入する(R5年8月)。プラズマ発光分光分析をマルチチャンネル分光器(PAM-11)で行いプラズマパラメーター(密度、温度)を明 らかにする。次に、インジゴカルミンやメチレンブルー等の色素溶液を用いてプラズマ気液界面での色素の分解脱色過程の時間・空間観察を通 して、プラズマ気液界面生成物質のマイクロ流路内拡散混合メカニズムを明らかにする。
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次年度使用額が生じた理由 |
気液二相合流マイクロ流路の試作を外注する必要が有り、流路形状の決定に時間がかかっている。また、流路内流体の挙動を可視化するシュリーレン装置の仕様決定に時間がかかり購入を次年度(R5年度)に繰り越した。
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