研究課題/領域番号 |
22K03594
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研究機関 | 信州大学 |
研究代表者 |
奥山 和美 信州大学, 学術研究院理学系, 教授 (70447720)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | ホログラフィー / N=4超対称ゲージ理論 / 2重極限SYK模型 |
研究実績の概要 |
本年度は、N=4超対称ゲージ理論とAdS5xS5上の超弦理論のホログラフィー対応および2重極限SYK模型について研究を行った。 Dorigoni et al(2021)により、N=4超対称ゲージ理論の積分4点関数の有限のNでの厳密な表式が提案された。この式はSL(2,Z)不変性を持っており、対応するタイプIIB超弦理論の双対性をホログラフィックに表していると考えられ非常に興味深い。私は立教大学の初田泰之氏との共同研究で、この量のラージN展開を系統的に計算する方法を開発し、1/N展開に対する非摂動的な補正をリサージェンスの手法で計算した。この補正はバルクのD3ブレーン・インスタントンに対応することを発見した。 次に、N=4超対称ゲージ理論のゲージ群がSOやSpである場合の1/N展開について研究した。バルクのタイプIIB超弦理論のオリエンティフォールドの電荷の議論から、1/N展開する際にNを定数だけシフトすることが自然である。このシフトされたNによる展開はこれまで議論されていなかった。この新しい展開は1/Nの偶数べきだけを含み、閉弦のジーナス展開と解釈されることを明らかにした。 最後に、2重極限SYK模型のコードダイアグラム展開に現れるコード数状態を、バルク重力のHartle-Hawking波動関数と関係付ける研究を行った。コード数が0からlの状態への遷移振幅を具体的に計算し、物質場の相関関数がその量の組み合わせで表されることから、バルク重力のHartle-Hawking波動関数と解釈できることを議論した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度はAdS/CFT対応の例として、N=4超対称ゲージ理論と2重極限SYK模型について研究を進め、結果を3本の論文にまとめることができた。並行して、明治学院大学の酒井氏、大阪大学の飯塚氏・姉川氏、立教大学の鈴木氏とも共同研究を進めて、いくつかの結果をarXivにプレプリントとして投稿した。以上より、研究はおおむね順調に進展していると判断される。
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今後の研究の推進方策 |
今年度は、昨年度の研究を発展させ、2重極限SYK模型について研究を進める予定である。具体的には、対応する重力理論のq変形された対称性やバルク重力のHilbert空間の構造を明らかにすることを目標としている。 また、信州大学の博士課程学生と行っている、JT重力の行列模型を用いたエンタングルメント・ネガティビティーの計算も論文にまとめたいと思っている。
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次年度使用額が生じた理由 |
博士学生のRA経費を計上していたが、新型コロナウイルスの影響で予定通り予算を執行することができなかった。本年度に使用できなかった分は、次年度も博士学生のRA経費として予算を使用する予定である。
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