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2023 年度 実施状況報告書

重い原子核構造の精密計算による二重ベータ崩壊半減期の理論予測

研究課題

研究課題/領域番号 22K03600
研究機関千葉工業大学

研究代表者

東山 幸司  千葉工業大学, 創造工学部, 教授 (60433679)

研究分担者 吉永 尚孝  埼玉大学, 理工学研究科, 名誉教授 (00192427)
研究期間 (年度) 2022-04-01 – 2026-03-31
キーワード原子核構造 / 二重ベータ崩壊 / 殼模型 / 生成座標法 / シッフモーメント / 電気双極子モーメント / 八重極振動模型 / 理論核物理
研究実績の概要

ニュートリノを放出しない原子核の二重ベータ崩壊は,崩壊が起こり半減期を得られると,ニュートリノの基本的性質が明らかになると同時に,素粒子の標準模型を超えた新しい物理への道を開くものとして期待されている。近年,二重ベータ崩壊の半減期の探索実験が盛んに行われているが,幾つかの核種に対して上限値が得られているに過ぎない。また理論においては,原子核殻模型,乱雑位相近似,相互作用するボソン模型等により核行列要素の計算が行われてきたが,模型の違いにより互いの結果が一致していない。このため,平均場を超えた理論により原子核構造の精密計算を行い,得られた波動関数を用いて核行列要素を計算することが必要不可欠である。
本研究の成果は,質量数140領域のキセノン,セシウム,バリウム原子核に対して殻模型計算を行い,原子核の励起メカニズムを明らかにしたことにある。この領域の核子間に働く相互作用の研究は現在まで行われてこなかったため,本研究では現象論的な有効相互作用を用いて数値解析を実行し,幅広い核種のエネルギー準位や電磁遷移の実験値を再現した。
さらに本研究では,原子核の八重極振動の効果を取り入れた八重極振動模型により数値解析を行い,コア励起に起因する八重極励起の影響が低エネルギー状態に現れることを明らかにした。
その他の成果として,質量数130領域,および質量数200領域の原子核について,核子固有の電気双極子モーメントにより生じるシッフモーメントを計算し,中性原子の電気双極子モーメントの評価を行った。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

本研究では令和5年度において,質量数150領域の原子核構造の数値解析,およびニュートリノを放出しない二重ベータ崩壊の核行列要素の計算を行う計画であった。現段階では,これまで計算してなかったキセノン,セシウム,バリウム原子核に対して,殻模型計算の数値解析を実行し,原子核の励起メカニズムを明らかにした。更に,八重極振動の効果を取り入れた八重極振動模型による数値解析も行っている。ただ,二重ベータ崩壊の計算は行っておらず,予定よりも遅れている。一方で,生成座標法による原子核構造の数値解析は進んでおり,研究はおおむね順調に進展している。

今後の研究の推進方策

本研究では令和6年度において,質量数100領域および質量数150領域の二重ベータ崩壊の数値解析を目指す。質量数100領域のジルコニウム,ルテニウム原子核に対しては既に殻模型計算を行い,原子核の励起メカニズムを明らかにしている。この計算で得られた精密な波動関数を用いて,モリブデン100原子核の二重ベータ崩壊の核行列要素を評価する。さらに本研究では,生成座標法による質量数100領域の原子核構造の数値解析を計画している。この領域の原子核を計算するための計算環境は整っているため,殻模型計算で用いた有効相互作用を用いて数値解析を実行し,エネルギー準位・電磁遷移の実験値が再現できるかを確認する。実験値を再現していない場合には相互作用に修正を加えるが,この修正はそれほど時間がかからないと予想される。生成座標法の波動関数を詳細に解析することで原子核構造を明らかにすると共に,時間があれば生成座標法による二重ベータ崩壊の枠組みを完成させ,数値解析を実行する。

次年度使用額が生じた理由

今年度は状況をみて国際会議にて成果発表をすることを計画しており,実際にはアメリカ合衆国ハワイ州のマウイ島で開催された国際学会に出席する予定であったが,マウイ島での大規模な火災による日程の変更や海外旅行費用の価格の高騰により,出席する事ができなかった。次年度は状況をみて国際会議にて発表をすることを計画している。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2023

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (1件) (うち国際学会 1件)

  • [雑誌論文] Correlations between nuclear Schiff moment and electromagnetic measurements2023

    • 著者名/発表者名
      K. Yanase, N. Shimizu, K. Higashiyama, N. Yoshinaga
    • 雑誌名

      Physics Letters B

      巻: 841 ページ: 137897-1-7

    • DOI

      10.1016/j.physletb.2023.137897

    • 査読あり
  • [学会発表] Octupole phonon excitations on the shell-model states in Xe, Cs, and Ba isotopes up to mass 1422023

    • 著者名/発表者名
      N. Yoshinaga, K. Higashiyama, C. Watanabe
    • 学会等名
      Sixth joint meeting of the Division of Nuclear Physics of the American Physical Society with the nuclear physicists of the Physical Society of Japan
    • 国際学会

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公開日: 2024-12-25  

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