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2022 年度 実施状況報告書

天体での核融合反応率の微視的原子核模型による評価

研究課題

研究課題/領域番号 22K03610
研究機関香川高等専門学校

研究代表者

谷口 億宇  香川高等専門学校, 情報工学科, 准教授 (60529064)

研究期間 (年度) 2022-04-01 – 2026-03-31
キーワード核融合反応率 / 微視的原子核模型
研究実績の概要

低温での12C+12C核融合反応率を微視的に評価した。12C+12C核融合反応率は、12C+12C分子共鳴状態が大きく寄与することが分かった。いくつかの相互作用での計算結果を比較することで、反応率は共鳴エネルギーの影響が大きいことが分かった。12C+12C核融合に寄与する共鳴状態の発現に、α+20Neやp+23Naなどの崩壊チャネルとの結合が重要である。12C+12C分子共鳴状態は崩壊チャネルと強く結合して断片化する。そのうち12C+12C閾値直上に分布した共鳴状態が、低温での核融合反応率を増大させる。
低温での12C+12C核融合反応率を評価したことは、X線スーパーバースト(XRSB)などの天体現象の理解につながる。XRSBは中性子星で起きる爆発的天体現象で、12C+12C核融合反応が引き金になるとされている。そのため、XRSBの理解には信頼性の高い12C+12C核融合反応率が必要である。しかし、中性子星の低温環境を加速器実験で再現することは難しく、反応率に不定性が大きく残っている。本研究で理論的に導出した反応率を天体現象のシミュレーションに適用することで、今後、XRSBの理解が進むと期待される。
反応率に有効相互作用依存性があったが、それは微視的模型の不定性でもある。実験で核融合に寄与する低エネルギー共鳴状態の性質を解明することで、より信頼性の高い反応率が得られると期待される。非弾性散乱による低エネルギー共鳴状態の性質の解明を検討している。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

12C+12C核融合反応率を微視的に評価することができた。国際研究会での招待講演を含む、いくつもの研究会で成果発表した。論文は現在準備中である。また、核融合反応に重要な共鳴状態を非弾性散乱で調べる研究につながるなどの発展をしている。

今後の研究の推進方策

核融合に寄与する共鳴状態の性質を理解するため、実験研究者との協力を進める。

次年度使用額が生じた理由

コロナ禍の影響でオンライン参加した研究集会が多く、旅費の使用額が計画より少なかった。次年度からほとんどの研究集会は対面開催に戻る見込みである。次年度使用額で旅費として使用することで、より活発に研究発表や情報収集を行う計画である。

  • 研究成果

    (11件)

すべて 2023 2022

すべて 学会発表 (11件) (うち国際学会 3件、 招待講演 3件)

  • [学会発表] 12C+12C fusion reaction rate from a microscopic nuclear model2023

    • 著者名/発表者名
      Y. Taniguchi
    • 学会等名
      PANDORA Wrokshop
    • 国際学会
  • [学会発表] 天体核融合とノックアウト反応の微視的模型による研究2023

    • 著者名/発表者名
      谷口億宇
    • 学会等名
      日本物理学会春季大会
    • 招待講演
  • [学会発表] 12C+12C molecular resonances that enhance 12C+12C fusion reaction rate2023

    • 著者名/発表者名
      谷口億宇
    • 学会等名
      星の進化と爆発天体における核反応の物理
  • [学会発表] Microscopic Estimation of Fusion Reaction Rate at Astrophysical Energies2022

    • 著者名/発表者名
      Y. Taniguchi
    • 学会等名
      IPQS long-term workshop “Mean-field and Cluster Dynamics in Nuclear Systems 2022 (MCD2022)
    • 国際学会 / 招待講演
  • [学会発表] 12C+12C fusion reaction rate from a full-microscopic nuclear model2022

    • 著者名/発表者名
      Y. Taniguchi
    • 学会等名
      Developments of Physics of Unstable Nuclei (YKIS2022b)
    • 国際学会
  • [学会発表] X線バーストを引き起こす12C+12C分子共鳴状態2022

    • 著者名/発表者名
      谷口億宇
    • 学会等名
      核反応シミュレーションと機械学習による核反応模型の発展
  • [学会発表] クラスター共鳴による天体における12C+12C核融合反応率の増大2022

    • 著者名/発表者名
      谷口億宇
    • 学会等名
      原子核におけるクラスター物理の新展開
  • [学会発表] 天体における12C+12C核融合反応率の微視的評価2022

    • 著者名/発表者名
      谷口億宇
    • 学会等名
      日本物理学会秋季大会
  • [学会発表] 低エネルギー12C+12C核融合反応率の微視的模型による評価2022

    • 著者名/発表者名
      谷口億宇
    • 学会等名
      低エネルギー核物理と高エネルギー天文学で読み解く中性子星
    • 招待講演
  • [学会発表] 12C+12C fusion reaction rate at low temperature from a microscopic nuclear model2022

    • 著者名/発表者名
      谷口億宇
    • 学会等名
      UKAKUREN-RCNP Conference on AstroNuclear Physics (ANP2022)
  • [学会発表] 天体エネルギーにおける12C+12C核融合反応率の微視的評価2022

    • 著者名/発表者名
      谷口億宇
    • 学会等名
      RCNP研究会「原子核反応研究の最近の話題と展望」

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公開日: 2023-12-25  

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