研究課題/領域番号 |
22K03629
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研究機関 | 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構 |
研究代表者 |
野尻 美保子 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構, 素粒子原子核研究所, 教授 (30222201)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | 素粒子論 |
研究実績の概要 |
ジェットの分類において基本となる要素を明らかにするために、最も先進的な模型の一つである、Particle transformer(ParT) 模型と同等の性質をもち、かつ解釈可能な模型を構成するための研究をおこなった。 1. ハドリニックカロリメーターレベルの分解能においてサブジェット構造, 2点相関、ソフト粒子のミンコフスキー汎関数をインプットとしたMLP模型を構築してParT と同等のバックグラウンド除去性能を出せることを示した。ブートストラップ法によって統計的なエラーを明らかにすることで、新たに作った模型の安定性や優位性が明らかになった。また、ソフトな粒子の存在やそのR依存性が分類に効果があることをあきらにした。MLPを基盤とし模型はParT模型に比べて安定で、今後の応用が期待できる。 2 いくつかのジェットの運動量とジェットの内部構造との間の相関をParticle transformer から得られた情報をcross attention メカニズムで解析する模型を使って解析する深層学習模型を開発した。実例として、pp->H-> hh というプロセスを例にとり、ジェットの内部構造とジェットの運動量との相関を用いて、極めて高い分類効率を達成した。この例では2つのジェットの内部構造の相関を一つのパラメーターで表現しているが、このパラーメータを入力とすることで、分類結果が大きく改善していることを示した。これはバックグラウンドとシグナルのカラーフローの違いによるものと考えられ、定性的には想定されるものの pp-> H-> hh の探索等に極めて大きな影響をもたらすものである
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
Particle transformer 模型は極めて高い分類性能を持つもので、これと同等な性能の保証する高次量を同定した。また、複数のファットジェットの相関の重要性を明らかにしたことなどから順調に進捗していると判断する。
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今後の研究の推進方策 |
1. の結果についてはよりresolution の高いデータについても有効であるか検討をしている。また、今回開発した模型はあらかじめaggregate したデータを使っているため統計揺らぎが少ないため、 reweighitngによる分類の補正に適していると思われるため、現在その有効性について検討を行っている。 2 については、cross attention を,ジェット分類そのものに応用する方法を開発しており、これをさらに複合させ、より効率のよい模型を作ることを検討している。
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次年度使用額が生じた理由 |
旅費等のより効率的な使用のために次年度使用とした。
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