研究課題/領域番号 |
22K03644
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研究機関 | 鈴鹿工業高等専門学校 |
研究代表者 |
正木 彰伍 鈴鹿工業高等専門学校, 機械工学科, 准教授 (80826280)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2027-03-31
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キーワード | 銀河サーベイ / 大規模構造 / ダークマター / ダークエネルギー / シミュレーション |
研究実績の概要 |
標準宇宙模型に含まれる暗黒物質、暗黒エネルギーの正体は未だ不明である。解明には、精密に観測された銀河の空間分布や形状のパターンを系統誤差無く解析し、物理的な情報を正しく引き出すことが極めて重要である。本研究では近年注目のサーベイ領域より大きなスケールでの物質密度の非一様性である「超サーベイ密度揺らぎ」由来の重力潮汐場(超サーベイ潮汐場)による系統誤差を除くべく、この潮汐場が宇宙の構造形成に与える影響を明らかにする。そのために申請者が世界に先駆けて開発したコードを用いて、超サーベイ潮汐場を考慮した宇宙の大規模構造形成シミュレーションを行う。観測結果の解釈に必要な基本的な統計量である物質・銀河の分布や銀河の形状のパターンに、超サーベイ潮汐場がどのスケールでどの程度の影響を与えるか明らかにし、それらの理論モデルを確立する。 今年度は、シミュレーションと観測を比較するうえで必要不可欠な要素である、観測された銀河とシミュレーション中のハローの関係性モデルの構築に注力した。独自に開発したモデルが予言する銀河クラスタリングを、すばる望遠鏡Hyper Suprime-Cam掃天観測で得られた最新の観測結果と比べたところ、既存モデルでは再現できない場合でも我々のモデルでは観測結果をよく再現できることがわかった。 この成果により、観測結果を解釈する上で不明瞭な銀河-ハロー関係に由来する不定性を低減することができ、超サーベイ潮汐場による影響を抽出することが可能となる。来年度以降は、超サーベイ潮汐場を考慮したシミュレーションを用いた研究に注力していく。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
最終的に不可欠な要素となる観測された銀河とシミュレーション中のハローの関係性に関する既存モデルに欠点が見つかったため、予定になかった独自モデルの開発をする必要があったため。
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今後の研究の推進方策 |
今後は当初の予定に立ち返り、超サーベイ潮汐場を考慮したシミュレーションを用いた研究に注力していく。必要なコードは開発しており、遂行に大きな問題は無いと考えている。
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次年度使用額が生じた理由 |
半導体価格の上昇の影響で、購入を予定していたワークステーションPCの価格が予想以上に上がってしまい配分された額では購入することができなかったため。来年度の配分額と合わせて購入を予定している。
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