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2022 年度 実施状況報告書

初代星星団形成の現実的モデル化

研究課題

研究課題/領域番号 22K03689
研究機関甲南大学

研究代表者

須佐 元  甲南大学, 理工学部, 教授 (00323262)

研究期間 (年度) 2022-04-01 – 2025-03-31
キーワード初代星形成 / 星形成 / 数値シミュレーション / 連星合体
研究実績の概要

本研究では現実的な初代星団(First Star Cluster)での初期質量関数や連星頻度などの物理量を導出することを目指している。初年度は当初現実的な合体条件を用いてミニハロー中のガス雲の収縮・分裂計算を行う予定であったが、まず以下のような研究を遂行した。
1)原始星合体条件の決定:現実的な合体条件を確立するためのSPHによる数値計算を行なった。その結果、合体は連星をなす2つの原始星の軌道角運動量が原始星自身の自転角運動量に移行することによって起きることを確かめ、現実的な原始星のモデルでは半径の20% 程度のオーバーラップがあるところまで接近できると合体に至ることがわかった(Kirihara+2023論文投稿中)。
2)初代星形成環境での乱流強度の理解:乱流の分裂に対する影響を考慮するために、まず収縮するガス雲で乱流がどのレベルまで発達するのかを数値的・解析的に調べた。その結果、最終的な乱流のマッハ数はガスの有効断熱指数のみで記述できることを明らかにし、ミニハロー中の星形成雲で超音速乱流が発達する明確な物理的説明を得た(Higashi, Susa, Chiaki 2022)。またSPH計算でもシア抑制機構を導入すれば、乱流の発達を十分表現できることもわかった。
3)初代星形成環境での円盤分裂の物理:合体条件は過去の研究と同一(シンク半径一定)であるが、有効断熱指数を変えた場合のガス雲の収縮・分裂計算を行い、有効断熱指数によって分裂の様子が著しく変更を受けることがわかった。またこの結果は数値的のみならず解析的にもよく理解できることが明らかとなった。これにより初代星形成環境では小星団が生まれやすいことが理論的に裏付けられた(Susa+2023 論文執筆中)。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

合体条件および乱流強度の定量化がようやくでき、またガス雲分裂条件も明らかになってきたので、これらをまとめて初代星団形成シミュレーションを行なっていく予定である。当初計画よりもやや準備的研究・計算に時間を使っているが、研究を遂行していく中で必要であることがわかり、また合体条件および乱流強度について比較的クリアな結論が得られているので研究は順調に進展していると考えている。

今後の研究の推進方策

まずは投稿準備中の論文をまとめ、投稿する。次に初年度に明らかになった合体条件及び乱流強度を用いて現実的な初代星形成シミュレーションを行い、これまでの研究との比較を行う。その後磁場を含んだ計算に移行していく予定である。

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2022 その他

すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (2件)

  • [国際共同研究] ANU/College of Science(オーストラリア)

    • 国名
      オーストラリア
    • 外国機関名
      ANU/College of Science
  • [雑誌論文] Saturation Level of Turbulence in Collapsing Gas Clouds2022

    • 著者名/発表者名
      Higashi Sho、Susa Hajime、Chiaki Gen
    • 雑誌名

      The Astrophysical Journal

      巻: 940 ページ: 38~38

    • DOI

      10.3847/1538-4357/ac9b0c

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] 種族III原始星星周円盤分裂と状態方程式の硬さについて2022

    • 著者名/発表者名
      須佐 元
    • 学会等名
      日本天文学会
  • [学会発表] 近接初代星原始星連星の合体条件2022

    • 著者名/発表者名
      桐原崇亘
    • 学会等名
      日本天文学会

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公開日: 2023-12-25  

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