研究課題/領域番号 |
22K03707
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研究機関 | 国立研究開発法人情報通信研究機構 |
研究代表者 |
中溝 葵 国立研究開発法人情報通信研究機構, 電磁波研究所電磁波伝搬研究センター, 主任研究員 (90437757)
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研究分担者 |
Ohtani Shinichi 九州大学, 国際宇宙惑星環境研究センター, 客員教授 (20778641)
吉川 顕正 九州大学, 国際宇宙惑星環境研究センター, 教授 (70284479)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 電離圏Hall分極効果 |
研究実績の概要 |
本研究は、「電離圏全球モデルによる数値計算」「超多点地上観測データ解析」「電離圏分極効果理論」により、オーロラ嵐発生時時の電離圏電場構造・電流経路の全容およびその形成メカニズムを解明することを目的とする。手法としては、「大規模沿磁力線電流(FAC)・電離圏背景伝導度(日照依存成分)・オーロラ嵐FAC・オーロラ帯伝導度(オーロラ嵐発生により増強する成分)」という複数自由度において、数値計算と観測データの解析をとおし、自由度ペア毎の電離圏電場・電流パターンを調査、さらに電離圏モデルに分極場分離法を適用し、自由度ペア毎に伝導度分布・電場内訳(1次,2次場)・電流内訳(1次,2次のHall, Pedersen電流)を解析し、全球にわたる電場再構成と電流連結を明らかにし、普遍的なメカニズムを解明しようとするものである。 2022年度に初期結果を得た「理論的に予測される電場・電流パターン」の現れ方を、FACを観測ベースで与えた場合について調査した。結果、理想的な数値実験と同種のパターンが得られている。但し、数値計算結果が、人為的に与えざるを得ないオーロラ帯伝導度によって大きく異なることから、パターンの構成要素の定量的内訳の推定および観測データとの比較による合致・非合致の同定は慎重に進めている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
観測データ解析:2022年度に作成したオーロラ嵐イベントリストから、冬・夏・春秋それぞれの季節について(日照に依存する電離圏背景伝導度分布に対応)、「大規模FAC」、およびそれに対する「オーロラ嵐FAC」の分布の代表的なパターンを選出し、それぞれのイベント時の電場・地上磁場データの解析を実施した。解析結果の数例について、以下に述べる数値計算との比較を実際した。 数値計算について: 観測データ解析で同定された「大規模FAC」および「オーロラ嵐FAC」の分布と強度を実際の数値計算の入力とし、電場・電流構造を算出した。オーロラ伝導度については、分布はオーロラFACと連動させ、強度を複数パターンに分けて実施した。 結果を観測データ解析と比較し合致・非合致を調査するとともに、「分極場分離法」を適用し、電場内訳(1次,2次場)・電流内訳(1次,2次のHall, Pedersen電流)を定量的に求めている。しかし、観測ベースではなくテスト計算的に与えているオーロラ帯電気伝導度に計算結果かなり左右されることから、その定量的決定は慎重に進めている。
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今後の研究の推進方策 |
数値計算において、現在は観測ベースではなくテスト計算的に与えているオーロラ帯電気伝導度に計算結果かなり左右されることが課題となっている。まずこれを解決するために、数値計算におけるオーロラ帯電気伝導度を入力FACと連動させて与えるについて、複数の先行モデルの方法論を試し、より尤もらしい与え方を推定する。その上で、あらためて数値計算と観測データを比較し、電流・電場の構成要素の内訳を調査する。
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次年度使用額が生じた理由 |
2023年12月に開催された米国地球物理学会年会への出席費を予定していたが、進捗状況等を考慮し、同年会への出席は2024年度に順延したため、次年度使用額が生じた。この次年度使用額は2024年度助成金と合わせ、2024年度の同年会への出席費として使用する計画である。
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