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2022 年度 実施状況報告書

メイオベントスの分散過程からみる地球温暖化の汽水湖への影響評価

研究課題

研究課題/領域番号 22K03737
研究機関島根大学

研究代表者

辻本 彰  島根大学, 学術研究院教育学系, 講師 (60570554)

研究期間 (年度) 2022-04-01 – 2025-03-31
キーワードメイオベントス / 汽水湖 / 中海 / 底生有孔虫
研究実績の概要

境水道周辺に分布していると推定される高塩分嗜好性の底生有孔虫が,中海湖心付近の中層水深から産出することがある.その分散過程を明らかにするため,①プランクトンネットを用いた中海湖内浮遊粒子の捕集,②2021年8月に美保湾~中海で採取された表層堆積物試料を用いた有孔虫群集解析,の2つのテーマを中心に研究を行った.
①のテーマについて,2022年の6月,7月,9月,10月,2023年の1月に野外調査を行った.各調査月において,中海湖心付近から深度別に一定時間プランクトンネットの水平曳きを行い,始点と終点では水質測定を行った.9月以降については,水平曳きに加え定点で鉛直曳きを行った.10月,1月調査では,中海下層から中層水深まで等間隔で浮遊粒子の捕集を行うことができた.下層水深と中層水深とでは捕集された粒子の状態が異なっており,下層水深では粒子量が多くなっていた.また,プランクトン生物に加え,底生有孔虫個体が捕集されていることが確認された.
②のテーマについて,境水道を除く中海本体について生体有孔虫群集の分析を行った.境水道を除く中海本体には,主にAmmonia “beccarii”,Trochammina hadai,Saccammina sp.の3種が優占していた.Trochammina hadaiは中海広域に分布していたが,湖心部付近に多産した.Ammonia “beccarii”は中海南西部や飯梨川河口付近,米子湾に多く見られ,Ammonia “beccarii”とTrochammina hadaiには明瞭な分布境界が認められた.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

プランクトンネットを用いた深度別粒子捕集方法の確立に時間を要したため,その詳細な解析を実施することができなかったことから,やや遅れていると判断した.しかし,年度後半には目的水深で粒子を捕集する方法がほぼ確立され,底生有孔虫個体の存在も確認できたことから,次年度以降の研究の進展が期待される.

今後の研究の推進方策

2022年度の研究で,プランクトンネットを用いた深度別の浮遊粒子捕集方法についてはほぼ確立されたので,引き続き継続的に野外調査を行い,中海湖内を浮遊する底生有孔虫の特徴を明らかにする.また,境水道~美保湾を含む表層堆積物試料の有孔虫群集解析を行い,底生有孔虫の分布域を詳細に調査することで,その起源を明らかにする.
中海湖心でのセジメントトラップアーカイブ試料を用いて,気象条件と捕集粒子との関係を明らかにする.

次年度使用額が生じた理由

各層プランクトンネットについて,既存のネットを利用することができたので,次年度使用額が生じた.野外調査の消耗品や,室内実験に関わる消耗品費として使用する予定である.

  • 研究成果

    (6件)

すべて 2023 2022

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (4件)

  • [雑誌論文] Environmental impact of removal of a large-scale sluice gate on Nakaumi Lagoon and adjacent coastal waters, southwest Japan: Evidence from long-term foraminiferal monitoring2022

    • 著者名/発表者名
      Nomura Ritsuo、Tsujimoto Akira、Takata Hiroyuki
    • 雑誌名

      Marine Environmental Research

      巻: 182 ページ: 105767~105767

    • DOI

      10.1016/j.marenvres.2022.105767

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Records of environmental and ecological changes related to excavation in varve sediment from Lake Hiruga in central Japan2022

    • 著者名/発表者名
      Seto Koji、Katsuki Kota、Tsujimoto Akira、Kitagawa Junko、Yamada Kazuyoshi、Suzuki Yoshiaki
    • 雑誌名

      Journal of Paleolimnology

      巻: 68 ページ: 329~343

    • DOI

      10.1007/s10933-022-00251-y

    • 査読あり
  • [学会発表] 堆積物のマルチプロキシ記録でみた中海の人為的環境変化2023

    • 著者名/発表者名
      廣瀬孝太郎・辻本彰・青木南・赤對紘彰・入月俊明・種市晟子・嶋池実果・瀬戸浩二
    • 学会等名
      汽水域合同研究発表会2023
  • [学会発表] 中海における現生貝形虫―2002年と2021年の群集との比較2023

    • 著者名/発表者名
      石垣 璃・入月俊明・瀬戸浩二・嶋池実果・辻本彰
    • 学会等名
      汽水域合同研究発表会2023
  • [学会発表] 宍道湖における過去1000年の環境変化と水草の繁茂履歴2023

    • 著者名/発表者名
      瀬戸浩二・香月興太・仲村康秀・齋藤文紀・辻本彰・高原輝彦・橋口亜由未・安藤卓人・入月俊明
    • 学会等名
      汽水域合同研究発表会2023
  • [学会発表] 有孔虫群集に基づく中海における過去約600年間の古環境の変化2022

    • 著者名/発表者名
      嶋池実果・辻本彰・廣瀬孝太郎・瀬戸浩二・赤對紘彰・入月俊明
    • 学会等名
      日本地質学会 第129年学術大会

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公開日: 2023-12-25  

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