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2023 年度 実施状況報告書

スラブの構造と力学的特性の解明およびMPMによる雪崩の汎用モデルの構築

研究課題

研究課題/領域番号 22K03747
研究機関株式会社雪研スノーイーターズ(研究室)

研究代表者

西村 浩一  株式会社雪研スノーイーターズ(研究室), 雪研スノーイーターズ(研究室), 研究室室長 (10180639)

研究分担者 齋藤 佳彦  株式会社雪研スノーイーターズ(研究室), 雪研スノーイーターズ(研究室), 主任研究員(兼 研究開発部部長) (40601042)
安達 聖  国立研究開発法人防災科学技術研究所, 雪氷防災研究部門, 主任専門研究員 (80719146)
田邊 章洋  国立研究開発法人防災科学技術研究所, 雪氷防災研究部門, 契約研究員 (90830448)
研究期間 (年度) 2022-04-01 – 2026-03-31
キーワード雪崩 / スラブ / MPM
研究実績の概要

猛吹雪のもとで発生・成長するスラブ(吹きだまり)の力学特性を明らかにするため、前年度と同様に北海道のニセコモイワスキー場の尾根上で、2024年1月から3月にかけてそれぞれ数日間にわたり3回、密度、硬度、雪質、雪温などの積雪断面観測を集中的に実施した。またこの際に形成された吹きだまりの積雪サンプルを表面から連続的に採取し、積雪内部の空隙をドデカンで充填したうえで冷凍保存し、防災科学技術研究所の新庄雪氷環境実験所に輸送した。そして当研究所のX線μCT解析装置を用いることで積雪の微細な3次元構造を非破壊で計測した。さらに今年度は上記に加えて吹雪を自動で計測するスノーパーティクルカウンター(SPC)を設置して、吹雪フラックスや雪粒子の粒径分布の時間変動を1秒ごとに計測し、積雪構造の変化との関連について風速のデータとともに詳細な比較検討が実施された。
また研究代表者の西村が2023年9月から3か月間にわたり、スイス連邦工科大学ローザンヌ校(EPFL)に招聘教授として滞在中に、かつてEPFLに所属し現在はスイス連邦工科大学チューリッヒ校に異動したGaume教授と数回にわたって意見を交換し、彼らのグループにより開発された雪崩の発生から運動、停止に至るすべてのプロセスを記述可能なMaterial Point Method (MPM)の手法を、共同で運用およびさらなる改良に向けて緊密に連携して進めていくことを確認した。また国内でも研究分担者により独自にMPMのコードの開発が進行中である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

前年度の実績を踏まえ、スラブが形成される尾根上での猛吹雪下での観測および積雪のサンプリングから冷凍保存、さらには新庄の研究所へ輸送という一連のプロセスを3回に亘り実施することで、手段が確立された。また新たに導入したスノーパーティクルカウンター(SPC)による吹雪のフラックスと粒径分布の時間変動とX線CTの解析による3次元構造の解析の結果からは、スラブの雪質の脆弱性をもたらす要因に関わる知見が得られるなど計画された研究内容は予定通り完遂された。
またスイスでのGaume教授との議論の結果、彼らが開発したMPMモデルの導入と共同研究による応用と改良という研究プロセスの道筋が確立されたほか、国内でも独自のコードを用いたMPMの計算手法の確立も開始された。

今後の研究の推進方策

過去2年度にわたって実施しそのプロセスがほぼ確立した、猛吹雪下での観測および積雪のサンプリングから冷凍保存、さらには新庄の研究所への輸送、X線CTの解析による3次元構造の解析の手法を次年度も実施することで、雪崩発生につながる特徴的な構造の抽出と定量化に向けた作業を継続して進める。前年度に有益な知見が得られたスノーパーティクルカウンター(SPC)による計測も、より長期間にわたって実施する。さらにはGaume教授およびその研究グループとの情報・意見交換、および独自の手法の開発に基づき、研本研究の主たる目的であるMPMの計算手法の確立に向けて一層の研究の進展させる予定である。

次年度使用額が生じた理由

円安と渡航費の高騰に伴い一部を繰り越して合算し、次年度にGaume教授の招聘も含めて計画するため。

  • 研究成果

    (13件)

すべて 2024 2023

すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件、 オープンアクセス 3件) 学会発表 (10件)

  • [雑誌論文] MPS 法による雪崩シミュレーションの実務利用の検討2024

    • 著者名/発表者名
      齋藤佳彦、荒川逸人、安達聖、西村浩一
    • 雑誌名

      日本雪工学会論文集

      巻: 40, 2 ページ: 26-38

    • DOI

      10.32120/jsej.40.2_26

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] Co-creation with local governments and ski resorts to generate scientific information that contributes to ski resort avalanche safety management2024

    • 著者名/発表者名
      YAMAGUCHI, S., Y. ITO, T. TANABE, K. NISHIMURA, S. ADACHI, S. SUNAKO, Y. SAITO, T. OKAZE, H. NIIYA, K. TSUNEMATSU, and H. NISHIMORI
    • 雑誌名

      Bulletin of Glaciological Research

      巻: 42 ページ: 9-17

    • DOI

      10.5331/bgr.23R02

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] Avalanche hazard mapping in Langtang, Nepal2024

    • 著者名/発表者名
      ITO, Y., S. YAMAGUCHI, and K. NISHIMURA
    • 雑誌名

      Bulletin of Glaciological Research

      巻: 42 ページ: 1-8

    • DOI

      10.5331/bgr.23A01

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] PCQ法を用いた確率論的雪崩ハザードマップ作成に関する研究2023

    • 著者名/発表者名
      田邊章洋
    • 学会等名
      JpGU2023
  • [学会発表] 積雪構造の時空間的変動を考慮した雪崩の動的ハザードマップの構築(その 3) -ニセコアンヌプリにおける 2 冬期の航空レーザ測量の比較-2023

    • 著者名/発表者名
      伊藤陽一,山口悟,西村浩一,田邊章洋,砂子宗次朗,齋藤佳彦
    • 学会等名
      雪氷研究大会(2023・郡山)
  • [学会発表] 積雪構造の時空間的変動を考慮した雪崩の動的ハザードマップの構築(その4)-ニセコスキー場における機動的な風観測とWRF を用いた風況場の再現-2023

    • 著者名/発表者名
      田邊 章洋,大風翼 ,新屋啓文,砂子宗次郎,伊藤陽一,安達聖,齋藤佳彦,常松佳恵,西森拓,西村浩一,山口悟
    • 学会等名
      雪氷研究大会(2023・郡山)
  • [学会発表] 積雪構造の時空間的変動を考慮した雪崩の動的ハザードマップの構築(その 5) -ニセコスキー場における機動的な雪庇観測-2023

    • 著者名/発表者名
      大風翼,田邊章洋,新屋啓文,砂子宗次朗,齋藤佳彦,西村浩一,安達聖,常松佳恵,西森拓,伊藤陽一,山口悟
    • 学会等名
      雪氷研究大会(2023・郡山)
  • [学会発表] 積雪状況の不確実性を加味した雪崩ハザードマップの構想2023

    • 著者名/発表者名
      田邊章洋,西村浩一
    • 学会等名
      雪氷研究大会(2023・郡山)
  • [学会発表] 高い地吹雪発生時の飛雪流量の平均化時間と最大値の関係2023

    • 著者名/発表者名
      大風翼,川島理沙,伊藤武竜,大宮哲,新屋啓文,西村浩一
    • 学会等名
      雪氷研究大会(2023・郡山)
  • [学会発表] 吹雪1イベントにおける降雪の影響を除いた防雪柵の捕捉性能2023

    • 著者名/発表者名
      新屋啓文,大宮哲,砂子宗次朗,西村浩一,大風翼
    • 学会等名
      雪氷研究大会(2023・郡山)
  • [学会発表] 滑り手が好むパウダースノーの条件とは? -ニセコ・パウダースノーPJ-2023

    • 著者名/発表者名
      山口悟,伊藤陽一,安達聖,鈴木恵里
    • 学会等名
      雪氷研究大会(2023・郡山)
  • [学会発表] 水に浸った雪粒子の粒径変化の測定2023

    • 著者名/発表者名
      竹内由香里,荒川逸人,島田亙,安達聖,勝島隆史
    • 学会等名
      雪氷研究大会(2023・郡山)
  • [学会発表] グリーンランド南東ドームアイスコアにおける積雪構造と圧密氷化過程2023

    • 著者名/発表者名
      松本真依,飯塚芳徳,斎藤健,川上薫,捧茉優,安達聖,八久保晶弘,青木輝夫,藤田秀二,藤田耕史
    • 学会等名
      雪氷研究大会(2023・郡山)

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公開日: 2024-12-25  

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