研究課題/領域番号 |
22K03750
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研究機関 | 秋田大学 |
研究代表者 |
星出 隆志 秋田大学, 国際資源学研究科, 助教 (20647565)
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研究分担者 |
福山 繭子 秋田大学, 理工学研究科, 准教授 (40630687)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 岩石マグマ相互作用 / オイコクリスト / 単斜輝石 / 多相固体包有物 / トロクトライト / かんらん石斑れい岩 |
研究実績の概要 |
前年度までの成果を論文にまとめるために、改めてヘスディープ海盆下部地殻斑れい岩(トロクトライトとかんらん石斑れい岩)の薄片観察を実施した結果、スピネル含有かんらん石斑れい岩に見られるかんらん石オイコクリストや単斜輝石オイコクリストの特徴が、Yang et al. (2019)で行われたトロクトライトとMORBメルトの反応実験で形成された組織と非常に似ていることが判明した。また、ヘスディープのかんらん石斑れい岩中の単斜輝石のTiO2-Mg#組成図における組成トレンドも、同反応実験で生じた単斜輝石のものと共通した特徴(TiO2の幅広い変動に対して、Mg#はほとんど変化しない)を有することもわかった。このことは、ヘスディープのスピネル含有かんらん石斑れい岩が岩石とマグマの相互作用で形成されたことを示唆している。
前年度までに、スピネルに含まれる2種の多相固体包有物の化学的・岩石記載学的特徴から、同斑れい岩形成には2つの異なる化学組成のマグマ(かんらん石玄武岩質マグマと高Mg安山岩質マグマ)の関与があったことが推定されていた。しかし、異なる2つのマグマからどのようなプロセスにより同斑れい岩が形成されたのかについては明確ではなかった。上述した事実を踏まえると、ヘスディープでは下部地殻においてトロクトライトと高Mg安山岩質マグマの反応が起こり、スピネル含有かんらん石斑れい岩が形成した可能性を指摘できる。
上記の内容について、2024年4月のEGU General Assemblyで発表した。現在学術誌への投稿準備を進めている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
これまでの成果を論文としてまとめる過程で、下部地殻斑れい岩の岩石組織を注意深く観察し直したところ、斑れい岩とマグマの相互作用を示唆する岩石組織の特徴(オイコクリスト)に気が付いた。これにより、オイコクリストを呈するものと呈さないものを区別して鉱物の主要元素化学組成分析をし直す必要が出てきたため、2023年度実施予定の微量元素分析を行うことができなかった。
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今後の研究の推進方策 |
ヘスディープ斑れい岩についての執筆中の論文を投稿する。斑れい岩と多相固体包有物のうち、前年度までに主要元素分析を実施した粒子について微量元素分析を実施し、その結果について国内外の学会で発表する。
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次年度使用額が生じた理由 |
論文投稿に向け岩石薄片試料観察をし直した結果、新たに重要な発見があり、それを確かめるための追加分析を実施した。その過程で分析機器の故障等があり修理やその後の分析実施に時間がかかり、当該年度実施予定であった鉱物の微量元素組成分析を行うことができなかった。このことにより、同分析に必要な物品の購入を実施しなかったため。
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