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2023 年度 実施状況報告書

スラブ流体を介したウェッジマントル改変過程の検討

研究課題

研究課題/領域番号 22K03761
研究機関熊本大学

研究代表者

石丸 聡子  熊本大学, 大学院先端科学研究部(理), 准教授 (60464046)

研究期間 (年度) 2022-04-01 – 2025-03-31
キーワードカンラン岩 / 脱蛇紋岩化 / マントルウェッジ / スラブ流体 / 交代作用 / 変成作用
研究実績の概要

ウェッジマントルでの改変作用を経験したカンラン岩/蛇紋岩体試料をもちいて,スラブ流体による物質学的・化学的変化の痕跡の有無やその程度の定量的な見 積もりを達成するために解析を進めている。
北極圏ウラル地域ライイズ岩体中に存在する直方輝石に富む変カンラン岩岩ついての解析をすすめ,マントルウェッジ内でどのような履歴を経て地表に露出するに至ったのか,鉱物組合せの変遷と鉱物科学組成の変化から検討をおこなった。その成果を日本鉱物科学会年会で発表をおこない,更に発展した内容を学術雑誌に投稿し査読中である。関連した研究として,長野県北西部の河床暦として産する蛇紋岩についての成果を発表した(荒井ほか,2023_地質学雑誌)。
また,熊本県に分布する黒瀬川帯中の超苦鉄質岩体についても解析を進め,形成場の推定をおこなった。変成作用時に形成されたと考えられるチタンに富む鉱物集合体が観察され,低温での金属元素の移動条件について新たな知見が得られる可能性があり,次年度も引き続き解析を進める。
変成作用中の金属元素の移動に関しては,元々スピネル中に存在していたチタンが変成作用中に溶脱し,チタノクリノヒューマイトが濃集する脈の存在が知られている四国中央市に露出する変成カンラン岩体(藤原岩体)において,地質調査をおこない岩石試料を採集した。岩石試料および作成した岩石薄片は実体顕微鏡と偏光顕微鏡で観察を進めているところである。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

現地調査で試料を採集し処理を進めているところであるが,機器分析にまで至っていない試料も多くある。2024年度は外部への分析依頼をすすめるなどして,研究課題推進に必要なデータを効率的に揃えることを検討している。

今後の研究の推進方策

2023年度に採集した四国中央市の藤原岩体試料の解析を進める。藤原岩体中のチタノクリノヒューマイト濃集脈には,変成流体との反応によって形成されたと考えられる特異な鉱物が他にも存在し(石丸ほか 2009_日本鉱物科学会年会要旨),スラブ流体による元素の移動運搬過程を検討するには重要な試料である。また,既に採集している北極圏ウラル地域のカンラン岩体中に産するヒスイ輝石岩脈の解析を進め,ヒスイ輝石を結晶化させるに至った流体の性質についても検討する。
2023年度より進めて来た流体包有物の解析や鉱物微量元素組成の定量がいまだ不十分なため,データを揃える。
最終的に得られたデータから,スラブから放出された流体がマントルウェッジ内を移動する際に引き起こされる相互反応について考察し,研究総括をおこなう。

次年度使用額が生じた理由

英文校閲費用を所属研究機関の支援によりまかなうことができ,本経費での支出が不要であった.
国際会議への旅費および参加費や他機関への分析のための旅費として使用する計画をたてている.

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2023 その他

すべて 国際共同研究 (2件) 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (1件)

  • [国際共同研究] Institute of Geology and Geochemistry/Ural Branch/Russian Academy of Sciences(ロシア連邦)

    • 国名
      ロシア連邦
    • 外国機関名
      Institute of Geology and Geochemistry/Ural Branch/Russian Academy of Sciences
  • [国際共同研究] Geosciences Environnement Toulouse/Observatoire Midi-Pyrenees(フランス)

    • 国名
      フランス
    • 外国機関名
      Geosciences Environnement Toulouse/Observatoire Midi-Pyrenees
  • [雑誌論文] 高瀬川・鹿島川の蛇紋岩礫の岩石学的性質とその地質学的意義:河床礫岩石学の重要性2023

    • 著者名/発表者名
      荒井章司,江島輝美,田村明弘,輪湖恵美,森下知晃,石丸聡子
    • 雑誌名

      The Journal of the Geological Society of Japan

      巻: 129 ページ: 643~654

    • DOI

      10.5575/geosoc.2023.0029

    • 査読あり
  • [学会発表] 北極圏ウラル,ライ・イズ岩体の直方輝石に富む変成カンラン岩の形成履歴2023

    • 著者名/発表者名
      石丸聡子,薗田梨衣,三浦真,Shmelev, V.R.,荒井章司
    • 学会等名
      日本鉱物科学会2023年年会

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公開日: 2024-12-25  

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