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2023 年度 実施状況報告書

海は火砕流の移動を抑制するか?阿蘇4火砕流分布と海域の比較,定置温度からの制約

研究課題

研究課題/領域番号 22K03781
研究機関山口大学

研究代表者

辻 智大  山口大学, 大学院創成科学研究科, 講師 (90849209)

研究分担者 山本 裕二  高知大学, 教育研究部総合科学系複合領域科学部門, 教授 (00452699)
研究期間 (年度) 2022-04-01 – 2025-03-31
キーワード阿蘇4火砕流 / 火砕流の定置温度 / 熱残留磁化 / 幸屋火砕流 / 海を渡る火砕流
研究実績の概要

1)阿蘇4火砕流堆積物の熱残留磁化測定:熊本県阿蘇市,阿蘇郡,大分県中津市にて採取した阿蘇4火砕流堆積物の熱残留磁化測定を実施した.その結果,一部の試料にて初生残留磁化を保持していると見なせる結果が得られた.これらを用いて九州北部と中国地方における阿蘇4火砕流堆積物の定置温度を比較した結果,瀬戸内海を隔てて定置温度が有意に低下しているとは見なせないとの結論に至った.これは,阿蘇4噴火当時,瀬戸内海の海水面が低下して陸化していた可能性を示すものである.
2)海を渡った幸屋火砕流:鹿児島県種子島,薩摩半島,薩摩硫黄島にて,7,300年前に鬼界カルデラから発生した幸屋火砕流堆積物の試料採取および古地磁気分析を実施した.その結果,一部の試料にて初生残留磁化を保持していると見なせる結果が得られ,海を隔てた先の火砕流堆積物の定置温度は供給源地域のものと比較して優位に低いものであった.これは海が火砕流の移動に影響を与えたことを示すものである.
3)非溶結火砕流堆積物の定置温度を精度よく測定するために,採取~測定までの手法を見直し,適切なサンプリング,保管,測定などの方法を試行錯誤するため,ケーススタディを実施した.
4)2023年10月に鹿児島市で開催された日本火山学会2023年度秋季大会に参加して,「熱消磁実験による九州中北部 Aso-4 火砕流堆積物の定置温度」という題目で口頭発表を,「大隅半島南部における幸屋火砕流堆積物の定置温度条件の検討」という題目でポスター発表を行った.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

計画通り,阿蘇カルデラから山口県に流れた阿蘇4火砕流堆積物の熱残留磁化測定を実施することができた.
鹿児島県種子島,薩摩半島,薩摩硫黄島を調査し,幸屋火砕流堆積物の試料採取および熱残留磁化測定を実施することができた.
測定結果が良好でないものが多く,定置温度を精度よく決定することが課題である.これに関して,ケーススタディを実施した.
日本火山学会に参加して成果発表を行うことができた.

今後の研究の推進方策

1)最新鋭のサンプリング装置を用いて,熊本県~大分県における阿蘇4火砕流堆積物の試料採取,熱残留磁化測定を実施し,定置温度を精度よく決定する.
2)海を渡った幸屋火砕流:インドネシアのクラカタウ火砕流もしくはニュージーランドのタウポ火砕流にて,水域を渡った火砕流の定置温度を議論する.
3)2024年10月に札幌市にて開催される日本火山学会に参加し,学会発表する予定である.

次年度使用額が生じた理由

コロナウィルス感染症の世界的な広がり(パンデミック)の影響により,国外渡航および調査の計画が遅延したことによる.この計画を令和6年度に実施することで,使用額の差異は解消される予定である.

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2023

すべて 学会発表 (2件)

  • [学会発表] 熱消磁実験による九州中北部 Aso-4 火砕流堆積物 の定置温度2023

    • 著者名/発表者名
      辻 智大, 大澤研斗, 山本裕二, 潮田雅司
    • 学会等名
      日本火山学会2023年度秋季大会
  • [学会発表] 大隅半島南部における幸屋火砕流堆積物の定置温 度条件の検討2023

    • 著者名/発表者名
      飯澤彩羽, 辻 智大, 山本裕二
    • 学会等名
      日本火山学会2023年度秋季大会

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公開日: 2024-12-25  

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