研究課題/領域番号 |
22K03785
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研究機関 | 国立研究開発法人産業技術総合研究所 |
研究代表者 |
下司 信夫 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 地質調査総合センター, 研究グループ長 (70356955)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 割れ目噴火 / マグマ減圧率 / メルト包有物 / 桜島 |
研究実績の概要 |
桜島の代表的な割れ目噴火である大正噴火、安永噴火、文明噴火の噴出物の層序解析による噴火推移の把握を行うとともに、層序に沿って試料を採取し、その時間変化を解析した.大正噴火の噴出物は桜島の東部黒神地区および西部の湯ノ平地区で、東西の火口列の試料をそれぞれ採取した.また、噴火後に急冷された細粒粒子の試料を採取するため、桜島東方に離れた牛根地区で追加試料採取を行った.桜島東部においては、大正噴火の初期噴出層である降下軽石と、それを覆う後期噴出物である軽石質火山砂層の噴出物を識別し、それぞれの代表的な試料の採取を行った.安永噴火噴出物は牛根地区で降下軽石を3層準から採取した.また文明噴火噴出物は、桜島島北東にあたる福山地区で層序に沿った試料を3層準から採取を行った. 桜島大正噴火の噴出物のガラス包有物の含水量とその水拡散プロファイルを取得し、噴火層序に沿って5試料を比較した.ガラス含水量は、EDSを用いた酸素定量による含水量推定方法を用いた.ガラス湾入部の含水量変化を32プロファイル取得し、マグマ噴出時の温度・ガラス化学組成から推測されるシリケイトメルト中の水の拡散速度を用いて、プロファイルから推測される平均的な減圧速度を推測した. その結果、爆発性の高い初期の軽石噴火ステージでは比較的高いマグマ過剰圧力を保持していたのに対し、軽石噴火に引き続く火山灰放出ステージの噴出物では過剰圧が低下し、低い減圧速度で噴出していたことが判明した.軽石噴火ステージ内での時間変化ははっきりとした傾向を見出すことは難しかった.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
令和4年度は新型コロナ感染症拡大のため、研究計画に沿った十分な野外調査を実施することが困難であったが、桜島の3回の割れ目噴火の噴出物の野外調査及び試料採取を実施し、かつ最新の大正噴火噴出物のメルト包有物。メルト湾入部の含水量及び含水量プロファイルの測定とそれによる減圧速度の予察的な結果を得ることができた.また、同様の手法を用いて解析した姶良カルデラの噴出物の含水量プロファイルとそれに基づくマグマ溜まり減圧過程の国際論文を公表することができた(出版は23年度).
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今後の研究の推進方策 |
当初研究計画に沿って桜島の大正・安永・文明噴火の噴出物の解析を進め、噴火推移に沿ったマグマ減圧量の解析を進めるとともに、噴火間での比較を実施し、桜島における割れ目噴火のマグマ減圧過程の解析を行う.さらに、噴火推移の観測データが伴われている霧島新燃岳2011年噴火の噴出物の解析等にその手法や結果を展開し、観測データから推測される実際のマグマ上昇過程と、噴出物に記録された減圧過程の比較検討を実施する.また、より規模の大きな爆発的噴火であるカルデラ形成噴火についても、姶良カルデラ等の事例の調査を実施する.そのほか、噴火推移情報などが十分に備わっている国内外の噴火事例を検討し、必要に応じて現地調査等を実施する.結果については速やかに学会発表や論文作成等を行い公表に努める.
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナ感染症対策のため、計画していた野外調査および研究成果発表・動向調査のための国際学会現地参加が行えなかったため、予定していた国内・国際旅費の執行ができなかったため、次年度使用額が発生した. 令和5年度は延期した野外調査の実施および研究成果発表等のための国際学会出席を予定している.
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