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2023 年度 実施状況報告書

熱間ダイス鋼の静的および疲労強度の異方性に及ぼす鍛造比の影響

研究課題

研究課題/領域番号 22K03813
研究機関富山県立大学

研究代表者

堀川 教世  富山県立大学, 工学部, 教授 (10363871)

研究期間 (年度) 2022-04-01 – 2025-03-31
キーワード疲労強度 / 鍛造 / 異方性
研究実績の概要

R5年度は高鍛造比(25S)、中鍛造比(11S)、通常の鍛造比(6S)で製造されたSKD61の曲げによる疲労試験を行いS-N線図を得た。また、軸荷重による引張試験と疲労試験の試験片作製と試験片取り付け治具の作製を行った。現在までに、曲げ試験片による疲労試験を実施し、各鍛造比のS-N線図を得ているが、R5年度はR4年度で取得できなかった高サイクル域のデータ取得を中心に疲労試験を実施した。その結果、以下の結果が得られた。
高鍛造比(25S)、中鍛造比(11S)、通常の鍛造比(6S)のS-N特性においては、高サイクル域ではいずれの材料も明確な疲労限度を示すことが分かった。高サイクル域での疲労破壊は、いずれも破壊起点に介在物が確認されたことから介在物支配型の破壊であることが分かった。R4年度の研究結果では低サイクル側では鍛造比の違いにより疲労強度に違いがみられたが、R5年度に実施した高サイクル側での研究結果では鍛造比の違いにより疲労限度に差は見られず、低サイクル側と高サイクル側で異なった疲労挙動を示すことが分かった。
軸荷重における疲労試験では、研究当初では同一の鍛造比で製造された鋼塊を用いて軸荷重疲労試験片を作製する予定であったが、同一鍛造比でも若干の組織(結晶粒形状と寸法)の異なりがあり、厳密には同一性を確保しづらいため、現時点で残っている曲げ試験片を再加工し、軸荷重疲労試験片を作製することで、疲労強度における曲げと軸荷重の違いを正確にとらえることができると考え、軸荷重疲労試験片を作製した。有限要素解析により評点間で応力が均一になるように形状を検討し、今年度はミニチュア型軸荷重疲労試験片とその取り付け治具を設計し、現物を作製した。ミニチュア型軸荷重疲労試験の準備試験の結果、破壊は評点間で生じており、引張および疲労試験が可能であることを明らかにした。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

R5年度は高鍛造比(25S)、中鍛造比(11S)、通常の鍛造比(6S)で製造されたSKD61の曲げ荷重での疲労試験、特に高サイクル域での疲労試験を実施し、S-N特性を得ることができた。また、軸荷重疲労試験の試験片と治具を完成させ、実験を実施できる状態になった。各鍛造比において曲げによるS-N特性を得ることができたため、曲げにおいては研究を完了することができた。一方、軸荷重においては試験片を作製する新規の鋼塊では、現在まで得ている曲げの試験片と内部組織において若干の差異が予想されることから、曲げ試験を再加工し軸荷重疲労試験片を作製することで鋼塊の生まれの差を取り除いた。このため、新たに軸荷重疲労試験片を作製したため、実験が遅れている。なお、現時点で軸荷重の疲労試験を実施できる状態であり、若干の遅れはあるものの研究は想定範囲内で進んでいる。き裂進展挙動については、把握はできていないが、曲げ試験片の表面観察によりき裂進展挙動の把握は可能であることからR6年度に実施する予定である。

今後の研究の推進方策

R6年度は軸荷重疲労試験を行い、曲げによるS-N特性と比較し、その差異を明らかにする予定である。また、レプリカ法によりき裂進展挙動を調べ、鍛造比の違いによってき裂進展挙動に差異があるのかを調査し、SKD61の疲労強度に及ぼす鍛造比の影響を明らかにする予定である。高温条件下の実験については、高温炉は使用できるため、限定的な試験条件にはなるが可能であれば実施したいと考えている。なお、現時点で軸荷重の疲労試験を実施できる状態であり、若干の遅れはあるものの研究は想定範囲内で進んでいる。以上をまとめてR6度において研究課題を完了させる予定である。

次年度使用額が生じた理由

軸荷重疲労試験片の追加工による加工費の変動により差額として2,696円が残った。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2024

すべて 学会発表 (1件)

  • [学会発表] 高鍛錬比で製造された熱間工具鋼の疲労強度特性2024

    • 著者名/発表者名
      林和樹、堀川教世、木下貴博
    • 学会等名
      日本設計工学会北陸支部令和6年度研究発表講演会

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公開日: 2024-12-25  

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