研究課題/領域番号 |
22K03855
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研究機関 | 宇都宮大学 |
研究代表者 |
長谷川 智士 宇都宮大学, 工学部, 准教授 (50600558)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 紫外フェムト秒レーザー加工 / レーザー加工時の超音波計測 / レーザー加工時の残留応力計測 |
研究実績の概要 |
半導体は,次世代のデジタル社会を支える基盤であり更なる高性能化は必須である.半導体の微細化による性能限界を突破するために,微細貫通孔を有する積層半導体用複合ガラス基板が用いられる.一方,複合ガラスの孔加工は難易度が高く,加工の条件出しに課題があった.本研究の目的は,複合ガラス基板に対し高精度かつ高速な貫通孔加工を実現するレーザー照射条件の効率的な探索手法の開発である.その目的を達成するために,加工プロセス中に計測された複数異種(マルチモーダル)の情報を用いて,機械学習により加工結果を予測する新たな手法の開発を目標としている.当該年度の研究実績の概要は,以下の4つである.①ガラスとポリマーへの光吸収率の観点から,紫外レーザー波長に対応したフェムト秒レーザー加工機を構築した.②レーザー加工時の音波計測系用に,超音波音圧計を購入し,レーザー加工機への実装を進めた.レーザー加工時に発生する超音波の周波数帯には加工部の組成情報が含まれるため,複合ガラスの界面検出に利用する.③レーザー加工時の応力計測系用に,偏光カメラを購入し,レーザー加工機への実装を進めた.レーザー照射による熱蓄積で生じた残留応力を監視し,微小欠陥の生成を予測する.④本研究課題に関連する論文発表を4本(うち英語論文3本,日本語論文1本),学会発表を25件(うち招待講演3件,国際学会2件,国内学会20件),受賞を3件(学内2件,学外1件)行った.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当該年度では,レーザー加工時に取得するモーダル情報を視覚,聴覚,触覚に分類し,それぞれ,加工速度,超音波,熱,圧力の計測を目的とした.加工速度(孔深さの進展速度)の計測系には光干渉断層計(OCT)を用い,既に実装を完了した.音波計測系には超音波音圧計を用い,現在実装を進めている.熱計測系にはサーモグラフィカメラの利用を想定したが,予算の関係により別手法での計測を検討中である.応力計測系には偏光カメラを用い,現在実装を進めている.
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今後の研究の推進方策 |
今後は,レーザー加工機への音波計測系と応力計測系の実装を進める.実装が完了した後,レーザー照射条件に依存するマルチモーダル情報(時間軸1次元)を入力として,機械学習により加工結果(孔径,孔深さ,欠陥有無)の予測を出力する.機械学習には,ニューラルネットワーク(NN)を多層,構造化して学習能力を高めた深層学習を用いる.NNの結合重みを訓練するために,様々な照射条件と時間レンジで試行された加工で得られるマルチモーダル情報と,電子顕微鏡画像で評価した加工結果が紐付けされた教師データにより,入出力の関係を学習する.機械学習の予測精度を上げるために,NNの層数やフィルタ数を最適化する.大量の教師データが必要になるため,グラフィックプロセッシングユニット(GPU)を用いて計算機の処理能力を上げる.
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次年度使用額が生じた理由 |
【次年度使用額が生じた理由】 研究課題に必要な物品の仕様が変更し,費用が変わったため. 【使用計画】 実験に必要な材料などの費用を支出する.
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