研究課題/領域番号 |
22K03856
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研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
中本 剛 千葉大学, 大学院工学研究院, 教授 (30198262)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 光造形 / 炭素繊維 / 機械要素 / 配向 / 電界 / レーザビーム描画 |
研究実績の概要 |
光造形法による造形物を実用に供するためには,その機械的な強度を向上させなければならない.光造形法の素材は紫外線硬化樹脂である.本研究では,一つの造形面内(水平面内)では部品の形状に沿って一端から他端までを長い繊維で強化し,かつ積層方向(厚さ方向)にも強化した機械要素を光造形法で製作することを目的としている.本方法では長繊維として高強度で曲げることができる炭素繊維を使用する.本研究の方法は光造形法を応用しており造形精度も高い.このため寸法が小さいマイクロサイズの部品にも適用が可能である. 厚さ方向(積層方向)に配向するためには次の方法を開発した.炭素繊維を短く切断して極板上に置く.極板間に直流電界を印加することによって炭素繊維が電荷を帯びてもう一方の電極に向かって飛ぶ.もう一方の電極板には樹脂を薄く塗布してあるので,炭素繊維はもう一方の電極板上で垂直に配向する.令和4年度はこの配向までを行っていた.令和5年度は配向した電極板を基板として使用して基板上に紫外線レーザビーム描画によって設計した形状の造形までを実施することができた.造形物の内部で炭素繊維が配向していることも確認した. 部品の輪郭形状に沿った配向については,令和4年度は型を転写した紫外線硬化樹脂に炭素繊維を配向し,輪郭形状に沿った配向を行っていた.令和5年度はレーザビーム描画によって造形した形状に対して炭素繊維を配向することができた.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
令和5年度の研究の予定は,レーザビーム描画によって造形した部品に対して炭素繊維を配向することであった.部品の厚さ方向にも,輪郭形状に沿った方向にも当初の予定通りに造形物に配向することができた.
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今後の研究の推進方策 |
部品の厚さ方向の配向については,これまで1層のみであった.今後は2層以上の積層した部品について炭素繊維を配向する予定である.部品の形状に沿った配向では,これまでは歯車の歯底部分のような凹形状は2方向の交差した炭素繊維で強化していた.今後は凹形状に曲げて配向する.これにより,歯面に曲げ応力が作用したときに強化の程度を大きくすることが期待できる.このように部品の形状に適した配向を実施する予定である.
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次年度使用額が生じた理由 |
令和5年度はUV-LED光源とデジタルフォースゲージ(力計)を購入する予定であった.しかし,いずれも本申請者が所属している研究室で所有している物品を利用することにより購入する必要はなかった.令和6年度はHe-Cdレーザ発振管チューブなどを購入しなけれならなくなるために,助成金を使用してしまう予定である.
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