研究課題/領域番号 |
22K03870
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研究機関 | 有明工業高等専門学校 |
研究代表者 |
田中 康徳 有明工業高等専門学校, 創造工学科, 教授 (20290827)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 溶射 / 粒子積層 / 中空粒子 |
研究実績の概要 |
溶射プロセスによる光触媒皮膜作製において、光触媒活性の高いアナターゼ型酸化チタンは熱影響により光触媒活性の低いルチル型に相転移してしまう。この相転移を抑制する方法の一つとして、粒子を溶融させず、エアロゾルデポジションのように熱流体により粒子を加速させて高速で基材に衝突し、破砕させる方法が考えられる。通常セラミックスの溶射に用いられる溶融粉砕粉末は溶射法では解砕させることが困難であるため、低密度化した溶射粉末として中空粒子(H-TiO2)を用いることで、粒子速度を大きくし、皮膜を作製することを試みた。本研究では、粒子径の異なる低密度TiO2粉末を調製し、その粉末を溶射し、粒子径が溶射皮膜性能に与える影響について検討した。 粉末合成の結果、界面活性剤の濃度および噴霧時の空気圧の変更により、粒径の異なる H-TiO 粉末ができた。調製したH-TiO2粒子を用いた光触媒溶射皮膜作製において、LT-HVAF溶射のほうがフレーム溶射に比べ光触媒活性は向上し、また、中空粒子の粒子径が大きいほうが熱影響が小さくなり、光触媒活性は向上した。 あらかじめ、調整したH-TiO2粉末を、500℃、600℃、700℃で熱処理し、これを原料として作製した皮膜の光触媒活性は、500℃、600℃では熱処理なしよりも向上できたが、700℃では、アナターゼ率の低下と付着量の減少により低下した。 600℃熱処理した粉末を用いて、溶射時間の変化に伴う付着量を求めたところ、溶射開始直後は粉末が付着せず、一定時間経過から付着を開始する現象が現れた。基材に炭素鋼およびアルミニウムを用いた場合、溶射溶射初期では見かけの付着量はあまり変わらないが、基材表面観察より、アルミニウムでは球状粒子のまま付着した粒子が多く観察され、エロージョン摩耗による質量減と粉末の付着による増加が起こっており、実際の付着量は高いことが推察された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
年度途中で溶射皮膜作製に使用するコンプレッサが故障した。修理も高額であり、修理費用を捻出できなかったため、皮膜作製実験が継続実施できなくなった。
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今後の研究の推進方策 |
昨年度中断した時点から科研費の使用は行っておらず、残予算がある。これと今年度予算を合算し、コンプレッサの修理を行う。コンプレッサ以外の必要経費については、学内予算を使用する。研究の遅れ並びに修理費拠出による研究費減のため、マイクロバブルによる混入の効果について検証するとともに、異種材料については、アルミナのみの実施とする。
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次年度使用額が生じた理由 |
年度途中で溶射皮膜作製に使用するコンプレッサが故障した。修理も高額であり、修理費用を捻出できなかったため、皮膜作製実験が継続実施できなくなった。今年度分と合算し、故障したコンプレッサの修理を実施する。
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