研究課題/領域番号 |
22K03877
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研究機関 | 芝浦工業大学 |
研究代表者 |
長谷川 浩志 芝浦工業大学, システム理工学部, 教授 (40384028)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | システム工学 / MaaS / 観光情報 / 複合領域最適化 / AI / データサイエンス |
研究実績の概要 |
2022年度は,タビマエマインド探索システムの構築に関する研究である.現在では,インターネットを利用した様々な旅行者向けサービスが提供されている.IPSOSの調査によると,一般旅行者の46%がInstagramを利用して旅行計画を立てており,インバウンド観光客の51%があまり知られていない観光地の情報源になっていると回答している.このような背景から,本研究では,エモいを感じる旅行「エモ旅体験」を提供する探索システムとすることにした.このタビマエマインド探索システムは,旅行計画を立てる利用者が注目した画像イメージを解析し,色彩から得られる色彩感情(感情語)と画像内の物体を認識し関連する物体感情(感情語)をそれぞれ抽出,感情語のデータベースには,感情を表す言葉146種類,ORIGAMIを利用した.色彩感情の抽出には,イメージ画像をRGB変換し,K-means法により代表的な5色を決定,色彩イメージデータベース(日本色彩研究所)の連想語から感情語を抽出した.物体感情の導出には,畳み込みニューラルネットワークのVGG-16による物体認識を行い,抽出した物体名称を含んだTwitter投稿をテキストマイニング,日本語形態素解析システム,MeCabにより得られた形容詞と形容動詞から感情語を抽出した.Google Map検索に地域,色彩・物体感情を示す感情語,観光目的を入力することで観光スポットを提案することができた.以上の各モジュールを構築し,タビマエマインド探索システムの構築を実装した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2022年度のタビマエマインド探索システムの構築のために下記の研究内容を実施した.(1)現在の旅行計画の立て方について,現状調査を実施した.その結果を受けて,利用者が注目した画像イメージからエモいと感じる場所を提案する方式とした.(2)画像イメージから旅行場所を提示するために,画像の雰囲気を表す色彩に着目した.色彩をキーに色彩イメージデータベース(日本色彩研究所)の連想語を求め,感情を表す言葉146種類の感情語(ORIGAMI)と紐づけ,抽出する機能を実装した.(3)画像イメージ内の物体を認識し, 認識した物体名称を含んだTwitter投稿に対してテキストマイニングと日本語形態素解析(MeCab)を行い,形容詞,もしくは形容動詞を抽出,感情を表す言葉146種類の感情語(ORIGAMI)と紐づけ,抽出する機能を具現化した.(4)抽出した色彩感情と物体感情を示す感情語,観光地域,観光目的を入力することで観光スポットを提案する機能をGoogle Map検索と連携して実装した.(5)東京,大阪,那須町を観光地域と定め,本システムの有効性を検証した.この検証に際して,アンケート調査を実施し,分析を行った.その結果,本システムからリコメンドされた観光施設が有用であることを確認した.以上,ここで,得られた成果を2023年度に国際会議,27th International Conference on Knowledge-Based and Intelligent Information & Engineering Systems (KES2023)にて発表を行う予定である.
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今後の研究の推進方策 |
2023年度は,生活の足と観光周遊を連携したサービスカーのシミュレータ構築を行う.これは,バイクシェアリング,カーシェアリング,オンデマンドバス,路線バスなどに対するルート最適化システムの統合化研究になる.このため,System of Systems (SoS)の概念を導入する.この概念を用いて,公共移動システム,観光移動システム,運営システム,観光ニーズ把握システム,タビマエマインド探索システムをSoSとして統合化する.また,SoS環境下での三方よしのための全体最適化を行う.この最適化のフレームワークとして,複合領域最適化手法の協調的最適化を導入する.また,カーシェアリングについては,将来の交通システムへ対応するために,SAEレベル4の自動運転車(再配置と流し配置)を考慮する.なお,この開発に際しては,芝浦工業大学と那須町との間で締結している観光活性化協定に基づき,那須町,那須観光協会,ナスコンバレー協議会,那須地区関連施設,那須地区の路線バス業者,那須高原レンタカーなどと連携を取り,この構築のためのニーズ調査やシステム検証を進めていく.この研究活動を通じて得られた成果は,適宜,学会発表や地域のシンポジウムなどで発表を行う.この発表活動や交流を通じて,国内外の研究者や地域住民などのステークホルダーから広く意見を収集し,得られた知見をもとにシステム構成の見直し,修正,改善を実施する.
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次年度使用額が生じた理由 |
COVID-19の影響で国際会議発表を行わなかったため,その活動については次年度に繰り越しした.
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