研究課題/領域番号 |
22K03890
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研究機関 | 東京理科大学 |
研究代表者 |
野口 昭治 東京理科大学, 理工学部機械工学科, 教授 (80349836)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 小型玉軸受 / トルク / グリース物性 / グリース封入量 / グリース封入形態 / トルク測定時間 |
研究実績の概要 |
2022年度では、実用的な軸受回転条件でトルクを測定できる標準的な装置の製作とディスペンサーを用いたグリースの定量封入の試行を行う計画であった。測定軸受として608と6204を選定し、動トルクを測定できる装置を複数(608用3台、6204用5台)製作して、様々な条件でトルクを測定することが可能となった(測定装置のスペックは、最高回転速度8000min-1、アキシアル荷重80N)。 また、ディスペンサー(武蔵エンジニアリング株式会社のML-5000XⅡ)を購入し、グリースを軸受内へ定量的かつ封入形態を変えて封入できるようにした。空気圧で一定量のグリースを噴出させるので、グリースのちょう度(硬さ)によって空気圧やピストンストロークを調整する必要があるが、実験予定のグリースの最適設定条件を決めることができた。 ここまでが当初の計画であったが、装置を5台製作したことによって次年度に計画していた実験を前倒しで進めることができた。具体的には、①市販されている軸受のトルク実態調査、②起動停止を繰り返した際のトルク測定、③JIS K 2220に記載されている低温トルク測定との比較の実験を進めることができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
2022年度では、実用的な軸受回転条件でトルクを測定できる標準的な装置の製作とディスペンサーを用いたグリースの定量封入の試行を行う計画であった。測定軸受として608と6204を選定し、動トルクを測定できる装置を複数(608用3台、6204用5台)製作して、様々な条件でトルクを測定することが可能となった(測定装置のスペックは、最高回転速度8000min-1、アキシアル荷重80N)。 また、ディスペンサー(武蔵エンジニアリング株式会社のML-5000XⅡ)を購入し、グリースを軸受内へ定量的かつ封入形態を変えて封入できるようにした。空気圧で一定量のグリースを噴出させるので、グリースのちょう度(硬さ)によって空気圧やピストンストロークを調整する必要があるが、実験予定のグリースの最適設定条件を決めることができた。ここまでが当初の計画であったが、装置を5台製作したことによって次年度に計画していた実験を前倒しで進めることができた。具体的には、①市販されている軸受のトルク実態調査(複数企業の市販されている608、6204を購入し、1つの条件で20個のトルク測定を行い、現状を把握した)、②起動停止を繰り返した際のトルク測定(一般的な機械では連続的な回転ではなくオン/オフが繰り返されるので、その稼働状態を模擬した条件でのトルク測定を行い、トルクの変化を観察した)、③JIS K 2220に記載されている低温トルク測定との比較(本装置を低温槽に入れて-15℃の条件で回転速度1min-1でトルク測定を行い、JIS K 2220と比較を行った)、などの実験を進めることができた。
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今後の研究の推進方策 |
2023年度としては、前年度に製作したトルク測定装置を用いて、軸受のトルクに及ぼす①回転速度・負荷荷重の影響、②グリース封入量の影響、③グリース封入形態の影響を実験する計画であった。しかし、現在までの進行状況に記述したように、予定を前倒しできた実験項目もある。2023年度としては、以下の研究を行う予定である。 ①最適トルク測定時間の調査:グリースは半固体であり、遠心力が作用するのでゆっくりと流動する。したがって、グリースが安定する位置に堆積するまでの時間は回転速度や温度によって異なると考えられる。軸受メーカーでは30分(長くても60分)程度の測定時間であるが、この測定時間では安定したトルク状態になっていない懸念があるので、安定したトルク特性が得られる測定時間を実験的に追及する。 ②グリース封入形態の影響解明:軸受メーカーでは専用ノズルを用いて、軸受内にグリースを封入している。封入量は管理されているが、内部の状態までは管理されていない。グリースが入る場所(位置)によってトルクが異なる懸念があるので、グリースを封入する場所を変えて同じ量封入して、トルク測定を行い、早期にトルクが安定する封入形態を追求する。 ③グリース物性とトルクの関係解明:グリースには様々な種類がある。硬さを表すちょう度と内服している潤滑油の粘度がトルクに大きく影響を与えているので、同じ増ちょう剤でちょう度を変化させたグリースを用いてのちょう度の影響や同じちょう度のグリースを用いて内服する潤滑油の粘度を変化させてトルク測定を行い、トルクに及ぼすグリース物性の影響を明らかにするとともに、低トルクグリースの開発指針を提言する。
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備考 |
研究室のHPに研究内容として掲載している。
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