研究課題/領域番号 |
22K03908
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研究機関 | 日本大学 |
研究代表者 |
鈴木 康方 日本大学, 理工学部, 教授 (20424749)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 流体計測 / 翼まわり流れ / はく離流れ / 壁面せん断応力 |
研究実績の概要 |
二次元翼周り流れ(レイノルズ数:10の4乗)の風洞実験を行い,新規に整備したレンズ関係部品と高速度カメラにより,干渉縞の間隔が狭く,また干渉縞の連続画像間の変化や移動が速いために高精度な計測が難しい壁面せん断応力の高い箇所でも鮮明な干渉縞画像の取得が可能となった.これにより,干渉縞画像を対象としたPIV解析において翼負圧面の再付着点付近の速度ベクトルの検出率が大幅に向上し,誤ベクトルを低減することができた.その結果,再付着点付近でのOFI計測により算出された局所摩擦抗力係数の値は数値解析結果に近づいた. OFI・PIV同時計測に備えて2022年度に導入した加圧シーディング装置により粒子画像による翼面近傍流れのPIV単独計測を実施したが,境界層内の計測において計測途中である. 2024年度に実施予定のボックスファンへのOFI・PIV同時計測の予備検討として,まずボックスファンの羽根車へのOFI単独計測を実施したが,羽根車の回転が高速かつ不安定であり,製品の羽根表面性状等において干渉縞が発生しにくい状態であったため,干渉縞画像の撮影と位相平均処理に困難が生じた.そこで,回転数を低下した条件でモーターやトリガー信号等を交換・改良し,羽根表面に特殊なテープを用いることで,それらの問題を概ね解決できた.未解決の課題は,より高速回転でも明るくより高解像度での干渉縞画像を取得することであるが,原理的にはより高性能な高速度カメラや光源などの装置を用いることで解決が可能である. 以上の研究成果の一部をまとめてJournal of Fluid Science and Technologyに投稿し,掲載決定となった.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
翼面近傍流れのPIV計測が少々難航し,進捗遅れの原因となった.また2024年度に実施予定内容であるボックスファンにおけるOFI計測が難航することが見込まれたため,この取り組みも2022年度中に当初の活動と並行して開始した.その結果,上記計測における課題を早期に概ね解決できたが,当初実施内容において学外研究機関にて実施予定であった一部の実験が未実施であること,実験結果と比較するための壁面近傍流れを解像した準直接計算の分析作業がやや遅れていることがあり,進捗状況はやや遅れる状況となった.
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今後の研究の推進方策 |
申請者らが保有している多数の翼まわり流れの実験データと整合させた計測結果を得るため,当初予定していた翼模型ではなく学外研究機関にて所有されている模型と風洞試験装置を借用してOFI計測を実施する.得られた結果を用いて本学の風洞試験データとも整合性をとるようにする.翼面近傍流れのPIV計測はより高性能な高速度カメラを学外研究機関より借用して実施し,本実験を実施しやすくする.その後に,予定通りにOFI計測,熱線計測,PIV計測の同時計測を実施する.2024年度に実施予定であったボックスファンを用いたOFI計測では,まず予備的に羽根車単体かつ定格回転数よりも低下させて実験が容易な回転数にて上述の借用した高性能な高速度カメラで最適な実験条件を明らかにした後に本実験を実施する.OFI計測と比較するための数値解析結果の分析も引き続き実施し,各計測結果の分析に徐々に重点をおくようにして研究を遂行する.
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次年度使用額が生じた理由 |
学外研究機関にて予定していた実験を実施できなかったため,これにともなう旅費及び謝金の支出(約30万円)がなかった.成果発表について時期的にシンポジウムでの発表が困難となったため,これにともなう参加費及び旅費(約4万円)の支出がなかった.論文投稿は行ったものの,掲載料の支払いが2022年度経費での支払いが間に合わず,これにともなう支出(予定額6万円)がなかった.一方で,実験の困難さから当初予定していなかった実験材料の支出(約7万円)がかかった.以上の理由により次年度使用額(約45万円)が生じた. 次年度使用額は,未払いの論文掲載料(約12万円),学外研究機関にて予定していた実験の旅費及び謝金(日数や人員を見直して約8万円),実験の進捗により新たに必要となった実験材料費(約25万円)に使用予定である.
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