研究課題/領域番号 |
22K03920
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研究機関 | 埼玉大学 |
研究代表者 |
前田 慎市 埼玉大学, 理工学研究科, 准教授 (60709319)
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研究分担者 |
小原 哲郎 埼玉大学, 理工学研究科, 教授 (80241917)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | デトネーション / 高速ガス銃 / 飛翔体 |
研究実績の概要 |
2022年度の成果から得られた最適な内径30 mmのデトネーション管を2本用いて、マルチ・チャンバ方式のデトネーション駆動高速ガス銃を構築した。長さ2 mのデトネーション管2本に対して、収束角度30度で発射管入口の1本の流路へ集合させる出口集合部を製作し、内径5 mm×長さ1 mまたは内径10 mm×長さ1.5 mの発射管と接続した。デトネーション管に充填する水素・酸素混合気の初期圧力240 kPa~480 kPaの範囲において、2本のデトネーション管の起爆タイミングを変化させて飛行体の射出速度を計測した。飛行体速度は内径5 mmの発射管で最大1390 m/s、内径10 mmの発射管で最大1200 m/sが得られた。2本のデトネーション管の起爆タイミングを0.2 ms~0.4 msずらすことで、シングル・チャンバ方式の高速ガス銃と比べて10 %程度の飛行体速度の向上が見られた。2本のデトネーション管内における未燃気体中を伝播するデトネーション波、および既燃気体中を伝播する反射衝撃波の波動ダイナミクスを実験結果より分析した結果、次のことが分かった。(1)2本のデトネーション管の起爆タイミングを適切に制御することで、発射管入口圧力の上昇が複数回得られ、これによりシングル・チャンバ方式と比べて飛行体速度の向上が得られた。(2)ただし、片方のデトネーション管を伝播したデトネーション波が発射管入口に到達した後、他方のデトネーション管へ回折・伝播することは避けられなかった。従って、2回目以降の発射管入口圧力の上昇は、デトネーション波の入射によるものではなく、既燃気体中を伝播する反射衝撃波によるものであると分かった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
当初の計画を越えて、マルチ・チャンバ方式の高速ガス銃における飛行体射出性能の実証まで行った。これにより、シングル・チャンバ方式と比べて飛行体速度の向上が見られることを確認できた。デトネーション管内の波動ダイナミクスを把握するための実験結果も得られており、マルチ・チャンバ方式の駆動ガス状態を考察するための様々な知見が得られた。
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今後の研究の推進方策 |
マルチ・チャンバ方式による飛行体射出性能の向上が確認できたものの、その向上幅は10 %程度でありそれほど大きくは無い。2024年度は、2023年度に得られた実験結果をもとにマルチ・チャンバ方式の駆動ガス状態に関する考察と物理モデル構築を進める。これにより、さらに飛行体速度の向上幅を大きくするための検討を行う予定である。
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