研究課題/領域番号 |
22K03937
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研究機関 | 公益財団法人名古屋産業科学研究所 |
研究代表者 |
酒井 康彦 公益財団法人名古屋産業科学研究所, 研究部, 上席研究員 (20162274)
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研究分担者 |
久保 貴 名城大学, 理工学部, 教授 (20372534)
岩野 耕治 岡山理科大学, 工学部, 准教授 (20750285)
伊藤 靖仁 名古屋大学, 工学研究科, 教授 (40346078)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 乱流/非乱流界面層 / 高シュミット数スカラ / スカラ散逸機構 / 化学反応現象 / 高シュミット数分子混合モデル / 光ファイバ計測技術 / ラグランジュ粒子法 |
研究実績の概要 |
本研究は,乱流/非乱流界面近傍での高シュミット数スカラ量(本研究では具体的なスカラ量として液相中の物質濃度を扱う)の散逸機構と化学反応現象を実験と数値計算により解明し,その結果に基づき,乱流/非乱流界面を含む複雑乱流場に対応できる簡易で汎用性のある確率密度関数法(PDF法:Probability Density Function Method)用のスカラ分子混合モデルを発展させることを目的とする.実験では,申請者らが独自で開発した世界最高分解能の光ファイバ型濃度計測プローブを使用する.また,数値計算ではラグランジュ粒子法や直接数値シミュレーション法によりスカラ分子混合モデルの高精度化を目指している.本年度は,昨年度に実施した周囲流(主流)を持つ軸対称乱流噴流場における高分解能濃度計測データの解析を進めた.具体的には,スカラ濃度に対し閾値を設け乱流/非乱流界面を検出し,界面周辺で瞬時濃度の条件付け統計量を算出した.その結果,乱流/非乱流界面(正確には粘性スーパーレイヤーと乱流せん断層の境界)における濃度ジャンプは,従来の実験やDNSで考えられていたようにTaylorマイクロスケールやKolmogorovスケール程度の幅で起こるのではなく,Batchelorスケール程度の幅で起こることが明らかとなった.また,濃度勾配の大きさ(~スカラ散逸率)は,界面からBatchelorスケール程度の離れた位置で顕著なピークをもち,それより内部(乱流領域)ではほぼ一定値を取ることが明らかとなった. 上記実験に加え,異なるシュミット数のスカラを含む軸対称乱流噴流場の直接数値シミュレーションを行い,スケール間スカラ変動収支をscale-by-scale解析により調査した.その結果,高シュミット数の場合には,非一様減衰乱流においても非線形輸送が分子拡散に卓越する粘性対流領域が存在することが分かった.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
乱流/非乱流界面近傍における高シュミット数物質の統計量を高精度で算出でき,従来の予想を覆す発見があったため.さらに,直接数値シミュレーションを実施することにより,乱流物質混合場に及ぼす乱流場の非一様性の影響について重要な新規知見が得られたため.
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今後の研究の推進方策 |
今後は,本年度の解析をさらに進め,軸対称乱流噴流場の乱流/非乱流界面近傍において得られた高シュミット数物質の瞬時濃度場のスペクトルから,分子混合モデルの構築に必要となる混合時間スケールの導出を試みる.さらに,実験で得られたスカラ(物質)散逸機構を組み込んだ分子混合モデルをラグランジュ粒子法に適用し,数値計算による化学反応場の予測精度の向上を目指す.
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次年度使用額が生じた理由 |
今年度は実験用材料やデータ処理用高性能PCの購入およびデータ保存用ハードディスクに必要な費用はほぼ適正に執行されたが、次年度にこれまでの研究成果を国際会議にて発表する予定であり、昨今の情勢から旅費が多く必要となることを勘案して、大規模数値計算費用や学会参加費を極力機関経費からの支出としたため、結果的に次年度使用額が生じた。未使用額は上記状況から次年度の国際会議への参加費や旅費、実験用消耗品よび成果出版費用の補充に当てる予定である。
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