研究実績の概要 |
宇宙機の姿勢制御用スラスター推進剤であるヒドラジン誘導体(ヒドラジン及びモノメチルヒドラジン)/四酸化二窒素 (N2H4/N2O4, CH3NHNH2/N2O4) の自己着火メカニズムにおける未解明発熱源と考えられるヒドラジン誘導体-亜硝酸 (N2H4-HONO, CH3NHNH2-HONO) エアロゾル凝集過程の初期段階において重要となる N2H4-HONO, CH3NHNH2-HONO 錯体の熱力学特性について,量子化学計算と統計力学計算による理論予測を行った. 本年度は,(N2H4)n-(HONO)m 錯体について昨年度から n + m ≦ 8, (m = n, n ± 1) まで拡張し,セクショナル法によるエアロゾル凝集モデルの構築に着手した.また,(CH3NHNH2)n-(HONO)m 錯体の数値計算に取り組み,昨年度得られた (N2H4)n-(HONO)m 錯体の結果と比較することで,N2H4 への CH3 置換により錯体の安定化エネルギーが増大すること,水素結合において H 原子受容体となるアミン基への CH3 置換の方が H 原子供与体となるアミン基への置換よりも安定化の程度が大きいことを明らかにした.(CH3NHNH2)n-(HONO)m 錯体は,(N2H4)n-(HONO)m 錯体よりも小さい (CH3NHNH2)2-(HONO)2 からイオン性錯体が安定になることを見出した.
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