研究課題/領域番号 |
22K03956
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研究機関 | 岐阜工業高等専門学校 |
研究代表者 |
石丸 和博 岐阜工業高等専門学校, その他部局等, 教授 (60232344)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 大気圧非平衡プラズマ / プラズマジェット / 活性酸素種 / 活性窒素種 / プラズマ治療 |
研究実績の概要 |
「がん」をはじめとする生体患部に対して、低侵襲性で治療を行える手法の確立を目指し、治療に影響を与える化学種である活性酸素・窒素種を効率的かつ選択的に生成のために、酸素、窒素、水を原料とした同軸二重管による大気圧非平衡プラズマジェットを用いる方法を提案した。この手法は電気的、熱・流体工学的両側面からの効果により高度に制御することが可能である。また、特に治療に適した細形(二重管外側管外径4mm)の二重管ノズルを採用している。 2022年度において「各種条件における同軸二重管大気圧非平衡プラズマジェットの発光状態・発生状態および電気的特性の調査確認実験」を主に行った。ここでは、特定の電気的特性状態の下、プラズマジェット装置内において発光分光装置を用い、内部で生成された特定化学種の種類・励起状態および活性度を調べて、プラズマの構造・性質を知るというものである。また、ハイスピードカメラおよびシュリーレン装置等によって、各種条件におけるプラズマ状態の変化、ガス流れの変化等の観察を行った。そして、高速オシロスコープを用いて、プラズマジェット発生時の電気特性との対応をとった。なお、プラズマ状態を変化させる各種パラメータの組み合わせは非常に多岐にわたるが、まず重要となる安定したRONS(活性酸素・窒素種)供給に必要とされる、安定してプラズマジェットが形成される条件の一部を明らかにした。ただし、酸素・窒素の混合によって、全体的な発光強度は弱まるが特定の波長については特徴的なピークが見られ、混合の影響が確認できた。なお、窒素の混合についてはプラズマジェットの安定性から約2.5vol%しか混合できておらず、活性窒素種の適切な生成には電極のサイズ変更、再配置が必要である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究におけるプラズマジェットを安定的に生成するためには多量のヘリウムガスを必要とするが、現在、世界的なヘリウムガス不足により、ヘリウムガスを購入することが非常に困難な状態にある。そのため、十分な実験を行うことが出来ず、まだ、十分に安定したプラズマジェットの条件が明らかにされていない。(特に水を含む場合について十分ではない)2022年度の研究結果によりに目途はついているので、その他の条件(特に装置条件)を検討することで、この条件を明らかにする。
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今後の研究の推進方策 |
2023年度においては、安定してプラズマジェットが形成できた条件に対して、「LIF(レーザー誘起蛍光法)よるRONS(活性酸素・窒素種)の計測実験」を行い、プラズマ治療に大きな影響を与えると考えられる具体的なRONSの生成条件を明らかにする、しかし、この方法とは別に、酸化力・滅菌力に優れたRONSである水酸化ラジカル(ヒドロキシラジカル)に特定した計測を「テレフタル酸を用いた化学プローブ法」を用いて行う。これによって、より詳細なRONSの計測を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
2022年度にハイスピードカメラを購入したが、当初想定したものよりも安価に購入することができた。2023年においては「LIF(レーザー誘起蛍光法)よるRONS(活性酸素・窒素種)の計測実験」を行う予定であり、この実験機材はレンタルの予定である。出来るだけ多くの実験を行うため、長期間のレンタルが出来るようこの費用に充てる。また、この実験と並行して、「テレフタル酸を用いた化学プローブ法を用いた水酸化ラジカルの計測実験」を行うため、この実験のための実験機材購入に充てる。 また、ヘリウムの購入は依然として難しいのみならず価格は高騰しており、そのための費用に充てる。
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