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2023 年度 実施状況報告書

熱的挙動による不整合相を伴う構造相転移現象の観測と解明

研究課題

研究課題/領域番号 22K03957
研究機関国立研究開発法人産業技術総合研究所

研究代表者

阿部 陽香  国立研究開発法人産業技術総合研究所, 計量標準総合センター, 主任研究員 (70462835)

研究期間 (年度) 2022-04-01 – 2025-03-31
キーワード構造相転移
研究実績の概要

573℃付近における水晶(SiO2)のα相とβ相の構造相転移は、不整合相(Incommensurate相、以下IC相)を伴うことが知られている。他の結晶に比べ、相転移温度が非常に高く、かつIC相の温度範囲が極めて狭い(約1.5℃)という特異な性質をもつ水晶のIC相は、X線回折、中性子回折、ラマン分光法等により活発に実験研究が進められたが、熱量測定法による熱的挙動の観測は不十分な状況である。そこで本研究では、示差走査熱量測定等を用いた手法により、このIC相の観測を行い、その振る舞いを明らかにすることを目的としている。さらに、このIC相中に生じるIC-IC相転移を熱的側面から捉えることを試みる。
本年度は、昨年度のトライアル測定を踏まえて、示差走査熱量計を用いたより精密な測定を実施した。昨年度課題となっていた、試験片加工の検討、試料容器の検討、試験片と試料容器間の熱接触の改善等及び、測定プログラムの最適化を行った。その結果、人工水晶と天然水晶それぞれにおいて、より明確なα-IC-β相転移を捉えることができた。さらに、各試験片の繰り返し測定に加えて、同水晶からカットした数枚の試験片を同条件で測定することにより、相転移現象の再現性についても評価した。
現時点の成果として、α-IC-β相転移近傍における熱的挙動は、昇温および降温過程で異なり、IC相の温度範囲も変化することが挙げられる。また、人工水晶より天然水晶のほうがより複雑な熱的変化を示すことは、非常に興味深い。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

示差走査熱量計による精密測定に時間がかかったため、当初の研究計画としてはやや遅れている状況であるが、興味深い結果が得られており、研究目的の達成度としては、概ね順調に進展しているといえる。

今後の研究の推進方策

今年度の示差走査熱量計による測定結果は、特に天然水晶において興味深い結果を得ており、今後は、産地の異なる天然水晶を用いて、測定を継続することにより、α-IC-β相転移現象を明らかにしていく。

次年度使用額が生じた理由

プレート型熱量計の製作が遅れており、その費用として使用額が生じたため。

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公開日: 2024-12-25  

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