研究課題/領域番号 |
22K03973
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研究機関 | 岡山理科大学 |
研究代表者 |
近藤 千尋 岡山理科大学, 工学部, 准教授 (90585225)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 2色蛍光粒子 / ガス温度面計測 / レーザ計測 / 熱機関 / ガス温度・流動同時面計測 |
研究実績の概要 |
当該年度は,【本研究の目的】を達成する上で必要とする,局所ガス流動と未燃ガス温度を瞬時同時に面計測可能な無機蛍光微粒子のガス温度面計測システムの構築と適用範囲の検証を実施した.ここでは,従来提案・構築してきた壁近傍ガス流動面計測用の無機蛍光微粒子において,蛍光寿命が1マイクロ秒以下であること,多種類の色素を同時に内包することが可能であること,を利用して,単波長励起で複数の蛍光光を発する粒子とそれら粒子蛍光光の温度依存性の違いを利用した2波長蛍光強度比法によるガス温度面計測の可能性を検討した. その結果,比較的蛍光輝度が高く温度依存性の低いローダミン6G色素および蛍光輝度が高くその温度依存性の高いローダミンB色素を混合し,シリカ微粒子に内包した無機蛍光微粒子を作製したところ,Nd:YAGレーザの第二高調波に相当する波長532nm励起により得られる蛍光スペクトルから,2色素それぞれに特有な蛍光波長帯で発光する2色無機蛍光微粒子の作製が可能であることを明らかにした.また,同粒子群を,定容容器を用いて一様空気流中に浮遊させた場合に,それら粒子群分布からの2つの異なる波長帯の発光像を同空間位置・同時刻において,簡素な2分岐光学系を用いることで1台のカメラの同一画像内に取得が可能で,計測システムの簡素化が可能となること,さらに、粒子群の2波長帯の発光像の空間分布の比が、雰囲気温度333K~473Kに対して概ね線形の依存性を示すことを示し、ガス温度計測粒子としての可能性を示した.ここで,粒子群発光像の輝度比を取る上で用いた粒子群の空間分布像は,粒子画像流速測定法PIVの空間相関を計算する際の検査領域の考えと同様としているため,同一画像を用いることでガス温度・ガス流動同時面計測へ拡張できることを示したことになる.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当研究では,従来開発してきた蛍光粒子によるガス流動計測法からガス温度情報を付加した面計測法へ拡張する上で、必要とする温度依存性の異なる2色で発光する蛍光微粒子の製造・探査において,候補となる粒子が作製を示したこと,また,実機での使用を想定して,雰囲気温度の種々異なる空気雰囲気で同粒子を浮遊させた際に,同一場所・同時刻においてとらえた2色の異なる発光像の空間面分布において,その2画像の比に明確な温度依存性を確認し,ガス温度空間分布の計測可能性を示したこと,また,粒子群の空間面分布は,粒子流速画像流速計測法の考えにより,ガス温度だけではなくガス流動計測法も適用できることを示した点で、おおむね計画とおり順調に進展している.
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今後の研究の推進方策 |
大気圧下・一様流空気中において,500K程度まで未燃ガス温度計測が可能であることを示したことから、当初の予定とおり,今後,気流生成が可能で実機相当雰囲気を模擬できる燃焼容器を用いて,安定着火に関わる点火栓電極間/近傍のガス流速・未燃ガス温度・火炎面・火花放電挙動を光学手法により,同時に瞬時2時元平面分布計測が可能となるシステムを構築する.また,消炎理論を適用・検討する上で,ガス温度面分布の高解像度化および空間3成分の流動計測を本システムに付与することも検討する.
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次年度使用額が生じた理由 |
初年度のガス温度面計測法の構築において,既有のCCDカメラと同等のスペックのカメラを追加導入する予定であったが,初年度に考案した光学素子を組み合わせた2分岐光学系のアイデアにより,初年度の実施計画においてはその導入必要性が低減した.しかし,次年度以降の消炎理論検証を進める上では,ガス温度面分布の高解像度化および速度3成分計測のための2台のカメラのステレオ配置が必要で,カメラ購入時期を,2年目以降のシステム構築計画にあわせ研究初年度から2年目に変更する.
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