研究課題/領域番号 |
22K03976
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研究機関 | 大阪公立大学工業高等専門学校 |
研究代表者 |
杉浦 公彦 大阪公立大学工業高等専門学校, その他部局等, 教授 (00249814)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | PEFC / 触媒層 / 添加炭素 / スプレーコート法 |
研究実績の概要 |
固体高分子形燃料電池のコスト低減するために三次元自己水管理型触媒層(3D-SWMC)構造の最適化を目指して2022年度は,①自己水管理型触媒層の開発として添加炭素種の電池特性への影響,②3D-SWMCの塗布方法の確立,③スプレーコート法によるSWMC塗布法の確立の3つのテーマを実施している.①先行研究で最適であった炭素添加率27.4wt%に固定し,有効電極面積1㎝×1cmの各種SWMCの電池特性を80℃フル加湿条件と常温無加湿条件で評価した結果,SWMCは標準触媒層よりも6.5wt%も白金触媒量が少ないにもかかわらず,常温無加湿条件下では標準触媒層と同等のセル性能を得ることができた.また,本助成金で購入したDRT解析では添加炭素によって分極抵抗の内容が異なることを示唆できた.また,有効電極面積5㎝×5㎝の触媒層で上流部と下流部で分割し,各種SWMCと標準触媒層を組み合わせた2次元触媒層では,フル加湿条件と常温無加湿条件では最適組み合わせが異なることを明らかにした. ②3D-SWMCを開発するため,先ずはインクジェットプリンタを用いて触媒層厚み方向でアイオノマー/白金触媒比(I/C比)を変更した1D触媒層を検証した結果,電解質膜からガス拡散層へ向けてアイオノマー比を減少,白金触媒比を増加させたグラデーション触媒層の有効性を確認できた.また,電極面内を4分割してI/C比を変更した2D触媒層も検証し始めており,その有効性がある様な途中経過は得ることができている. ③3D-SWMC形成を短時間で正確にできるために,スプレーコート法による塗布を検討した.その結果,有効電極面積3㎝×3㎝では塗布むらが発生するため,検証は1cm×1cmとしてセル評価を行った.炭素を添加しても塗布することができることを確認し,性能はスプレーコート法を用いて作製した標準触媒層に比べて非常に悪い結果となった.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
3つの研究テーマを実施し,それぞれのテーマで達成するための指針や問題点を抽出することができている.しかし,SWMC内の添加炭素やアイオノマーの分布については,本校で保有している試料切断用のイオンミリング装置が不調であったために,いくつかのサンプルをダメにしてしまっている. また,現状ではスプレーコート法は手動で行っているため,塗布厚みにばらつきが出ている.
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今後の研究の推進方策 |
SWMC内の添加炭素やアイオノマーの分布を確認するため,イオンミリング装置の修理を行うと共に,予算的に許される場合は外部分析依頼をかける予定である. スプレーコート法による塗布量の均質化のために,自動塗布装置を作製する予定である.
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次年度使用額が生じた理由 |
SWMC用評価セルを作成予定であったが,有効電極面積を1㎝×1cmか,3cm×3cmにするかの判断が遅れたために購入まで至らなかった.しかし,スプレーコート法では1㎝×1cmが有効であることが判断できたため,2023年度は評価セルを作製する.
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