研究課題
重症心不全患者に人工心臓を適用して左心室への負荷を低減することは,心筋回復と心不全の改善に有効であるが,人工心臓の埋め込みは侵襲性が高い。低侵襲な補助循環用ポンプカテーテルが開発されて高い効果を上げているが,通常の接触型の軸受では,摺動部における血球破壊や軸受の耐久性が問題となり,使用可能期間が非常に短いという問題がある。そこで本研究では,シャフトやインペラなど回転体を磁気浮上技術により完全に非接触状態で支持・回転することで,血液へのダメージを低減しつつ,高い耐久性を備えた補助循環用血液ポンプの開発に取り組む。Texas Heart Institute(アメリカ合衆国,テキサス州),University of Bath(イギリス,バース)と国際共同研究を実施し,心房内設置型補助循環用ポンプカテーテルの開発に取り組んだ。群馬大学では特に,磁気軸受部のFEM磁場解析と3次元CADを用いた実験装置の設計と形状最適化を実施した。解析結果を用いて試作機を製作し,静特性と動特性を測定した。今後は,製作した磁気軸受とブラシレスDCモータを組み合わせた磁気浮上モータを製作し,その特性を評価する。さらに,現在バース大学で設計中のインペラとデヒューザと組み合わせることにより磁気浮上ポンプを開発する。そして,疑似循環系や子牛を用いた動物実験を実施してポンプ性能評価を行う。
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