研究課題/領域番号 |
22K03982
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
佐藤 隆太 名古屋大学, 工学研究科, 特任教授 (60376861)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 位置決め / 残留振動 / 加減速指令 / 数値制御工作機械 |
研究実績の概要 |
本研究では,数値制御工作機械に代表される機械装置で位置決め動作を行ったときに生じる残留振動について,加減速時間を変えずに残留振動だけを抑制するための方法の開発と一般化を目的としている. これまでに,残留振動振幅の解析結果の妥当性および加減速指令の設計方法の有効性を確認するための実験装置として,モータに弾性はりとおもりを取り付けた試験装置を設計,製作した.その試験装置はDSPボードを搭載したパソコンによって制御できるようにし,任意の制御則と指令を適用できるようにした.モータに備えられたロータリーエンコーダによって検出されるモータ回転角度はDSPボードのカウンタ機能を使って記録されるほか,モータに取り付けた弾性はりの先端のおもりの振動加速度は,おもりに取り付けた加速度計を使って測定し,DSPボードのAD変換機能を使って記録できるようにした. 製作した試験装置に対して,モータに取り付けた弾性はりとおもりの固有振動数に基づいて,加減速パターンと振動振幅との関係を定式化して振幅マップを作製した.また,その振幅マップ上で6通りの加減速指令を生成し,その加減速指令で角度位置決め試験を行った.その結果,振動振幅の解析結果において振動が生じない条件では,抑制対象とした振動が実際に抑制できていることが確認できたほか,実際の振動振幅と解析結果とが一致することを確認した. さらに,位置決め指令をフーリエ級数として定義することで,特定の振動数成分を含まない位置決め指令を設計し,その指令の最大加速度の解析解に基づいてモータの最大トルクを超えない最短の位置決め時間で残留振動を発生させずに位置決めするための指令を設計することに成功した.また,固有振動数が異なる複数の弾性はりを取り付けて実験を行い,複数の固有振動数についても効果的に振動を抑制できることを確認した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
これまでに,当初の予定通り,残留振動振幅の解析結果の妥当性および提案する振動抑制方法の有効性を検証することを目的として,モータに弾性はりとおもりを取り付けた試験装置を設計,製作を完了しているほか,その試験装置の数学モデルを構築でいている.単一の振動数についての振動抑制実験とそのシミュレーションとを行い,加減速指令設計方法の有効性を検証できたほか,複数の振動数についても振動抑制実験とシミュレーションに成功した.さらに,モータの最大トルクを考慮して単一の振動数についてのみではあるものの最短時間での位置決め指令設計することに成功しており,おおむね予定通りの進捗状況である.
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今後の研究の推進方策 |
抑制対象の振動数を二つ以上とした場合の加減速指令の設計方法について,二つの振動数を同時に抑制しようとすると単一の振動数の場合と比べて振動抑制効果が劣ることが明らかとなった.このことの原因として,モータの制御系の特性と弾性はりの特性との間の干渉が考えられ,干渉を考慮した位置決め指令の設計が可能か検討する.また,複数の振動数を抑制しようとするとより大きなモータトルクが必要となることもわかったため,複数の振動数を抑制するための位置決め指令の一般解を求めることができるか検討するとともに,その一般解に基づいてモータの最大トルクを考慮した複数振動数を抑制するための位置決め指令の設計方法について検討を進める. 本研究で得られた知見については,できる限り学会での発表と論文の投稿を行い,広く社会に還元していく予定である.
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次年度使用額が生じた理由 |
試験装置を製作するにあたり,試験装置に使用するモータとそのドライバについて,企業からご提供を頂くことができた,そのため,モータとドライバの購入にあてる予定だった費用が次年度使用額となった.測定に使用したセンサ類についても研究室内での共有を進めることで費用の節約ができた.次年度使用額分は,より多くの周波数の抑制試験を行うための試験装置の改良に使用するほか,国際会議への参加および論文投稿のために使用する予定である.
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