研究実績の概要 |
強震モニタのようなリアルタイム地震観測網からの波形伝送を前提とし,伝送された波形データを用いた予見型の構造振動制御系設計について研究を行った. 今年度は,未知の地震波に対しても予見型制御系が高い振動抑制性能を発揮することを目標として,遠隔地観測データを元に構造系に到達する地震未来波形の推定のために,逐次的に係数が更新される適応フィルタを採用した.現在まで,過去の研究成果で採用されている人工ニューラルネットワーク(ANN)[1]に匹敵する性能は得られていないが,記録地震波を用いて学習したANNでは,未知の地震波の推定精度がANNの氾化能力に大きく依存するため,未知地震波に対する制御性能の確保が困難になる可能性がある.一方,適応フィルタを用いた推定では,入力されるすべての遠隔地地震波に対し到達地震波の1ステップ未来値の推定誤差の二乗(LMS手法を用いた場合)を最小化するため,様々な時間・周波数特性を持つ地震波に対して良好な精度で波形推定が行えることが期待される.現在も適応フィルタの構成や推定波形に基づく予見型制御についての検討を継続している. [1] K. Hiramoto, T. Matsuoka, Active vibration control of structural systems with a preview of a future seismic waveform generated by remote waveform observation data and an artificial intelligence based waveform estimation system,Journal of Vibration and Control, vol. 26, issue 17-78 (2020).
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